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政府税調「平成17年度の税制改正に関する答申」を発表
●  政府税制調査会答申、増税の必要性を強調
  政府税制調査会(石弘光会長)は11月25日、2005年度税制改正および今後数年間の税制改正の指針となる「平成17年度の税制改正に関する答申」を発表した。財政状況が危機的状態にあるとの前提に立ち、総じて増税の必要性を強調する内容となった。
  ポイントとなる事項を列挙すると、
  • 定率減税の2005〜2006年度での段階的廃止
  • 金融所得課税の一体化推進と金融番号制度の導入
  • 消費税率の将来的な引き上げ
  • 環境税の早期検討
などである。
  2005年度税制改正は、今後、与党の税制調査会に議論の場が移ることとなる。与党税制調査会では、税制改正に直接的に影響を与える「税制改正大綱」を12月中旬にもまとめる予定だ。
●  定率減税とは?
  今回はその中でも、定率減税について詳しく見てみたい。
  定率減税とは、各年の所得税および個人住民税から一定率の税額控除を認めるものである。所得税は所得税の20%(上限25万円)、個人住民税は個人住民税所得割額の15%(上限4万円)が控除される。1999年度の税制改正で、最高税率の引き下げとともに「恒久的な減税」として導入された。
●  定率減税の影響
  定率減税の影響を年収別に見ると、夫婦、子ども2人の4人家族世帯で、年収500万円では3.5万円の増税。年収700万円で8.2万円、年収1,000万円で17.8万円の増税となる。
  新聞ではよく「最大29万円の増税」と書かれているが、それは夫婦、子ども2人の4人家族世帯で、年収1,500万円クラスということになる。
  政府税制調査会の答申では、定率減税の廃止による経済への影響に関して、定率減税が導入された1999年当時と比べると経済状況は著しく好転し、各般の改革が続けば民需主導の経済成長が持続していくものと見ており、中期的な観点から、定率減税の廃止は妥当との判断を示している。
  しかしながら単年度での廃止は世論の反発が必至と、2005年度・2006年度での段階的廃止という答申内容になっている。
  政府税制調査会では、定率減税は個人所得課税体系を歪めていると認識している。そのため、定率減税の廃止は、国・地方の三位一体改革のなかで2006年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するための大前提ととらえている。
  その上で個人所得課税は、課税ベースの拡大、税率構造、諸控除の見直しが進められることになるようだ。
参考:財務省「平成17年度の税制改正に関する答申 〜税制調査会〜」
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2004.12.06
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