>  今週のトピックス >  No.948
増税1兆6000億円
〜2005年度与党税制改正大綱〜
●  与党税制改正大綱
  自民・公明両党は15日、2005年度税制改正大綱を決定した。
  所得税と住民税から一定額を差し引く定率減税を2005年度に半減する。また中古住宅のローン減税拡充や人材投資減税を創設して負担軽減を行うが、差し引き年間ベースでは1兆6,000億円規模の負担増になる模様だ。
  定率減税の縮小による増収分の使途については、15日の自・公両党の政策責任者会議で、特別障害者給付金支給法に基づく給付金や地方交付税に回る分などを除き、1,200億円程度(2005年度)を基礎年金の国庫負担割合の引き上げに充てる方針を確認した。
●  高齢者やフリーターの住民税を増税
  その他の増税項目として、高齢者優遇の住民税が改正される。個人住民税は、年間所得が125万円以下の65歳以上の高齢者に適用する非課税措置を2006年度から3年間で段階的に廃止する。また就労期間が1年に満たないフリーターなどからの徴収を徹底し、企業に給与支払報告書の提出を義務付ける。しかし住民税の均等割り(4,000円)の引き上げは、2006年度以降の検討課題となった。
●  減税項目は住宅ローンと中小企業の優遇措置
  一定の耐震性能を満たしていることを条件としながらも、築年数に関係なく住宅ローン減税が適用できることとした。今までの住宅ローン減税では、中古住宅の場合、木造で築後20年以内、木造以外のマンションなどで築後25年以内という条件だったため、中古住宅の流通を阻害しているという指摘があった。
  また企業の人材育成を促す減税措置を新設し、その中でも特に中小企業を優遇する。ほかにも、ベンチャー企業への投資、いわゆるエンジェル(投資家)を優遇する「エンジェル税制」は、適用期限を2007年3月まで2年間延長することとした。
●  企業再生支援税制
  企業再生を後押しするために、債務免除益の課税軽減策も導入する。現状の制度では、金融機関などの債権放棄によって生じた債務免除益は、原則課税対象となる。会社更生法や民事再生法など法的な整理を受けた企業だけが、不動産などの「資産評価損」と相殺できる。新しい支援税制では、整理回収機構や中小企業再生支援協議会が関与したり、私的整理ガイドラインに基づく私的整理などにも適用を拡大する。
●  第三のビールへの課税は見送りへ
  今回見送られた項目は、第三のビールへの課税を含めた酒税制度の改革や環境税の導入などだ。
  消費税については、2007年度をめどに「消費税を含む税体系を抜本的に改革する方針を明記」するにとどまった。
  2005年度税制改正に限らず、今後も増税が待ったなしで押し寄せてくるようだ。しかし国・地方合わせた700兆円という借金を解決するためには、増税の前に歳出削減を先行してもらいたい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2004.12.20
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