>  今週のトピックス >  No.950
タンス株の特定口座への持ち込みは12月末まで!
●  みなし取得価額が認められるタンス株
  自宅など手元に保管している株券、いわゆるタンス株を特定口座へ持ち込める期限は今年12月末までだ。
  2003年1月から株式譲渡益が申告分離課税に一本化され、投資家の確定申告への手間などを省くために特定口座制度が設けられた。特定口座内での売買は、証券会社などが年間の売買損益を計算し、譲渡益があれば源泉徴収もしてくれるため申告が不要となる。
  2003年度税制改正で、2003年4月から今年12月末日までは特定口座へタンス株も持ち込めることになった。大きなメリットは、持ち込む株式の取得価額に「みなし取得価額」を認めていることだ。
  みなし取得価額とは、2001年9月30日以前に取得した株式を2003年1月1日から2010年12月31日までの間に譲渡した場合、2001年10月1日の終値の80%を取得価額とすることもできるという特例である。
  タンス株は、相続で得たものなど保管期間が長いものが多い。本来は取得価額も低く売却益が大きくなるところを、みなし取得価額で売却益をかなり抑えることができる。
●  タンス株を利用した不公正な節税への批判
  タンス株は、取得時期にかかわらずみなし取得価額を認めてしまったため、不公正な節税に利用されているとの強い批判があった。これは時価が2001年10月1日時点の株価(みなし取得価格)よりも下落した株式を購入し、いったん現物の株式として持った後でタンス株として特定口座に入れる方法だ。その後、売却すればみなし取得価額と売却額との差額が売却損となる。いわば「架空の売却損」である。
●  特定口座への持込み期限の延長案が浮上
  特定口座への持ち込みは12月末までだと思われていた矢先、15日に決定された与党の2005年度税制改正大綱に、タンス株の特定口座への受け入れを新たに2005年4月1日から2009年5月31日まで認める措置が盛り込まれた。背景に株券不発行制度、いわゆる株券ペーパレス化がある。
  公開会社の株式については、2009年6月までの一定の日に、一斉かつ強制的に株券が廃止される。この際、タンス株として株主の手元にある場合は、発行会社が指定した信託銀行などの口座で管理されることになる。この口座はあくまでも権利を保全するためのもので、取引には利用できない。そのため、株主は、その信託銀行などに口座が設けられているかを確認した上で、別途証券会社などに振替口座を開設し、株式を移管しなければ取引ができないのだ。
  つまりタンス株のままでは取引ができなくなる。さらに名義書き換えをしないまま保有し続けた場合は、現物株券自体が無効になるため、最悪の場合は株主としての権利を失う恐れがある。このため、これらの制度変更を周知させる必要があるとの判断から、持ち込み期限を延長する案が浮上したのだ。
  ただしその際に持ち込めるタンス株は、実際の取得価額が分かるものに限られ、不公正な節税への利用で強い批判があったみなし取得価額での特定口座への受け入れは、2004年12月末で終了する。
2004.12.20
前のページにもどる
ページトップへ