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新入社員、入社後半年間の意識変化
●  入社半年後には会社への期待が冷める
  2004年度の新入社員に対して、入社直後と入社半年後に、ビジネスシーンに関する同じ質問をして回答率の変化をみた調査結果が報告された。同じ質問に対して回答率が大きく変わったものを意識の変化があったとみなすと、半年間で意識が変化している部分とあまり変わっていない部分がみられる。
  意識が変化したとみなされるものは、「職場の飲み会と先約の学生時代の飲み会がぶつかった」場合、「職場の飲み会に出る」が入社直後は64.2%だったが、半年後には44.1%に激減。一方で「友人との飲み会に出る」が35.8%から55.9%と激増している。
  「業務中にマニュアル以外の事態が発生した」場合は、「できるだけ自分で工夫する」が30.1%から41.7%と高くなり、逆に「先輩・上司に相談する」は69.9%から58.3%と大きく低下している。
  「上司から、会社のためになるが自身の良心に反する手段の仕事を指示された」場合に、「指示通りする」が43.4%から34.9%と減少し、「できる限り避ける」が40.8%から54.6%と高くなっている。
  同様に「職場でコンプライアンス上問題ある事態があるが、上司が動いてくれない」場合、「もうひとつ上の上司に相談する」が45.1%から53.3%へ、「管理部門に相談する」が38.5%から20.7%へ、「分からない」が15.0%から23.8%と変化している。
  これらの意識の変化に共通する要因には、会社に期待するものが薄くなったことがある。「職場で仕事を覚えられる、ビジネススキルを上げられる、上司が導いてくれる」のではなく、「自分を頼りに仕事・スキルを切り開くしかない」ことに半年で気付いたのだろう。
●  社員の転職志向の根底には、職場や上司が原因か
  こうした意識の変化が、以下に述べるような意識の変化につながる。
  「なじめない仕事を続けるのは意味がない」に対して「そう思う」が32.6%から42.4%、「そう思わない」が67.4%から57.6%。「条件の良い会社に移るのが得」に対して「そう思う」が33.7%から43.2%。「若いうちはフリーターも悪くない」に対して、「そう思う」が36.2%から43.7%。「会社の親睦行事には参加したくない」が20.2%から33.2%。「仕事を通じてかなえたい夢がある」は66.7%から57.1%。「出世より起業したい」が27.0%から35.2%と畳み掛けるような回答が続く。
  職場への期待がさめたことで、職場に依存しない考え方が身に付くようだ。こうしたことから、若者の転職志向の高まりの根本原因は、若い社員の期待に応えられない職場・上司にあるのかもしれない。
●  人事評価等に直面してない事項に変化がみられない
  一方、半年後もあまり回答率が変わらない、つまり意識の変化がないものもある。
  「ライバル社にしかない製品について顧客から照会があった」場合に、「取り扱いがないことを顧客にわびる」は72.5%から74.0%、「ライバル社にあることを伝える」は23.5%から21.1%、「給与が各人の業績や能力で大きく異なる仕組み」を望むのは、66.7%から64.3%、「同期でも評価・能力で昇格に差がつく」を望むのは70.1%から69.7%、「スペシャリストを育てる職場」を望むが48.3%から48.7%、「ジェネラリストを育てる職場」が51.7%から51.3%などは半年後もあまり回答率が変化していない。新入社員はまだまだ処遇や人事評価に直面していないからだろう。
参考:財団法人社会経済生産性本部「2004年度新入社員 半年間の意識変化調査(2004年12月)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2004.12.27
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