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冬のボーナス運用で人気の金融商品は・・・
●  冬のボーナスは消費より貯蓄
  業種間格差があるとはいえ、2004年冬のボーナスは景気回復の影響により、前年比プラスとなっている企業も多い(特に大企業は傾向が強い)。
  しかし、
  • 個人に対する大増税不安
  • 年金や健康保険など社会保障不安
  • 終身雇用崩壊による安定収入不安
などの不安要素により、この増加分は消費支出よりも貯蓄(資産運用)に回る可能性が高いのではないか。言い換えれば、個人の資産運用熱がヒートアップする可能性がある。
  そこで、今回は冬のボーナスを運用する際には、どのような金融商品が人気を集めるかを、ニーズ別に考えてみる。
●  個人向け国債に注目
1.できるだけ安定的な資産運用を考えている個人に人気を集めそうな金融商品
⇒金融商品例:国債、地方債、格付けの高い社債などが考えられる。特に最近の個人向け国債は、金利が0.7%前後で推移しているため、安全性と収益性をある程度兼ね備えた金融商品といえる。さらに変動金利なので、長期金利の上昇に連動して金利が上昇する。そのため将来、長期金利を予想する個人でも、安心して投資することができる(通常の債券は固定金利で、金利上昇局面では満期を迎えるまで元本割れが続く可能性があるため、金利上昇を予測する個人はそれらへの投資に二の足を踏んでしまう)。以上から考えると、現在は、個人向け国債が注目度ナンバーワンといえるだろう。
●  米ドル建てのMMF・預金・債券・年金の人気復活の可能性
2.高金利を期待して外貨での資産運用を考えている個人に人気を集めそうな金融商品
⇒金融商品例:外貨預金、外貨建てMMF、外貨建て定額年金、海外債券などが考えられる。1年以内の外貨運用であれば、外貨預金や外貨MMFを中心に、また2〜3年以上から、かなり長期間まで運用を考えるのであれば、海外債券や外貨建定額年金もそれらに加えて検討するのがいいだろう。
  特に、昨年12月から銀行への証券仲介業解禁により、銀行窓口で海外債券が購入できるようになった。そのため、海外債券そのものへの投資が人気を集める可能性がある。
【主要国の海外債券(10年国債)12月の金利水準】
米国
カナダ
フランス
ドイツ
オーストラリア
ニュージーランド
日本(参考)
4%前後
4%台前半
3.5%前後
3.5%前後
4%台前半
5%台後半
1.4%前後
  また外貨投資を取り巻く環境での最近の注目は、米国金利である。現在の米国政策金利(FFレート)は、今年5回目の利上げにより2.25%となった。この結果、ユーロの政策金利(ECBレポレート)2%を上回り、現状で判断すれば、ユーロよりも米ドルの方が高金利となった。現に米ドル建てのMMF・預金・債券の金利は、昨年の12月末現在、ユーロ建てのそれらをすべて上回っている。つまり、高金利を通貨選択の基準とするのであれば、今後はユーロより米ドルとなり、この金利変動がユーロから米ドルへと投資通貨のシフトを加速させる可能性がある。
  以上から考察すると、最近は高金利通貨に押され気味であった米ドル建てのMMF・預金・債券・年金の人気が復活する可能性があり、注目すべき商品といえるだろう。
●  銘柄選択より自分の予算の範囲内で慎重に行うことが、大失敗をしない一つの策
3.最近の景気回復を受け、株式での資産運用を考える場合
⇒金融商品例:個別株式、株式へ投資する投資信託
  インターネット証券の登場により、いつでも・どこでも個人が株式投資を行える時代となったことで、個人投資家は今後ますます増加していくだろう。また単元株制度の導入で、10万円台でも十分購入できる銘柄が数多くあり、その点でも個人が株式投資に参加しやすい環境が整備された。加えて、日本経済に明るさが見え始めているため、今後、日本株投資を検討している個人はかなり多いだろう。投資資金という点でも、投資信託は、通常1万円から購入できるため、資金が不足するという心配もない。
  経験はほとんどないが株式投資に興味はあるという個人であれば、日経225やTOPIXなど商品内容が分りやすい投資信託などを小額から始めてみる。そして、市場の動き方や値動き幅を体感した上で、次のステップとして個別株の購入を検討するというのがベターだろう。一方で、最近人気を集めている株式の信用取引などは、予想以上の大きな損失を被る可能性があり、投資経験が浅い個人や運用資金が小額となってしまう個人(若年層など)にはあまりお勧めできない。株式投資は銘柄選択よりも、自分の予算の範囲内で慎重に行うことが、大きな失敗をしないための一つの策といえる。
●  個人投資家に人気を集める不動産投資信託(J−REIT)
4.株式や債券、外貨など従来の資産運用商品以外での資産運用を考える場合
⇒金融商品例:不動産投資信託
  個人投資家の人気を集めているのが、不動産投資信託(J−REIT)である。J−REITは、ここ数年でその資産を急増させており、今後も東京都内中心のオフィスビル建設が相次ぐため、さらにその純資産が増加する可能性が高い。
  不動産投信とは、投資信託が株式などの有価証券で運用するのに対し、有価証券の代わりに、オフィスビルや商業施設などの不動産に投資するというものである。その魅力は、賃料収入を主な源泉としているため安定的な分配金(4%台)が期待できる点にある。加えて、値動きの幅も株式に比べ小さいといわれており、その点も人気の一つといえる。
  J−REITの最大のリスクは、現在の投資物件のほとんどが東京に集中していることである。しかし、最近は米国不動産へ投資する商品も相次いで発売されているため、不動産投信での運用を検討するのであれば、そのような不動産投信も組み合わせて検討するのがベターだろう。
  預貯金金利は、1年もの定期預金で0.03%前後、3年定期で0.07%前後(一部のキャンペーンやネットバンクなどを除く)と低金利が続いている。そのため、ボーナスの運用では、預貯金ではなく上記のような金融商品の人気が今後ますます高まることは間違いない。
2005.01.05
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