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NPO税制
〜2005年度与党税制改正〜
●  NPO税制の改正
  2005年度与党税制改正大綱では、特定非営利活動法人、いわゆるNPO法人への支援を強化していく考えで、具体的には、寄付をする企業側にメリットがある認定NPO法人制度の要件緩和と、寄付金控除の枠を広げる予定だ。
●  認定NPO法人制度とは?
  認定NPO法人とは、NPO法人のうち、その運営組織および事業活動が適正であること、並びに公益に資することについて一定の要件を満たしていると国税庁長官が認定した法人のことを指す。認定NPO法人になると寄付する側で税額控除が行われるため、個人や法人からの寄付を受けやすくなる。
●  特定非営利活動法人(NPO法人)等への支援
  NPO法人などへの支援は次の通りである。
1.認定NPO法人制度の認定要件等を次のように見直す。
(1)
いわゆるパブリック・サポート・テスト(総収入金額のうち寄付金総額の占める割合が5分の1以上であること)について、直前2事業年度の平均により算定する。ただし、各事業年度の割合が10分の1以上である場合に限る。
(2)
共益的な活動の制限にかかる要件(事業活動のうち共益的な活動の占める割合が100分の50未満であること)について、次の通り見直す。
 
イ.
会員などの範囲から、単なる顧客を除外する。
 
ロ.
いわゆるネットワーク型NPO法人(NPO法人等の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動を行うことを主たる目的とするNPO法人)の会員などに対する助成事業のうち、特定公益増進法人または認定NPO法人が参加する事業を共益的活動の範囲から除外する。
 
ハ.
その割合を直前2事業年度の平均により算定する。
(3)
運営組織、経理および事業活動に関する要件について、次の通り見直す。
 
イ.
役員および社員の親族に係る要件について、親族の範囲を配偶者および三親等以内の親族に限定する。
 
ロ.
事業費総額のうち特定非営利活動事業費の占める割合要件(100分の80以上)について、直前2事業年度の平均により算定する。
 
ハ.
受入寄付金総額の100分の70以上を特定非営利活動に充当する要件について、直前2事業年度の平均により算定する。
(4)
認定NPO法人の申請書の添付書類および各事業年度の報告書類について、一定の簡素化を図る。
2.寄付金控除の控除対象限度額を、総所得金額などの100分の30相当額(現行100分の25相当額)に引き上げる。
●  使えない税制
  今までのNPO税制は、認定NPO法人を取得しようと思っても要件のハードルの高さに断念することも多く、使えない税制と言われていた。実際、国税庁が発表した昨年12月27日現在の認定NPO法人の数は、わずか27法人に過ぎない。これでは制度が機能しているとはいえない。
  今回の改正では、ほんの一部の改善に過ぎないが、NPO法人が地域や業界のために活動しやすくなるように税制も後押しすることが必要だ。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.01.11
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