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一般民間企業の法定雇用率未達成企業割合は、58.3%
  厚生労働省は昨年12月28日、2004年6月1日現在の障害者の雇用状況を発表した。今回取りまとめた身体障害者および知的障害者(以下、障害者)の雇用状況は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、一人以上の障害者を雇用することを義務付けられている事業主などから、2004年6月1日現在における障害者の雇用状況の報告を求め、これを集計したものである。その調査結果によると、1.8%の法定雇用率が適用される一般の民間企業(常用労働者数56人以上規模の企業)において雇用されている障害者の数は25万7,939人で、前年の約1万人から4.4%増加したものの、法定雇用率未達成企業の割合は58.3%と、前年よりも高くなった。
●  「障害者の雇用の促進等に関する法律」で定めている法定雇用率
  「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、民間企業、国、地方公共団体は、それぞれ次の表の割合(法定雇用率)に相当する数以上の身体障害者、または知的障害者を雇用しなければならないこととされている。
 
法定雇用率
一人以上の障害者を雇用しなければ
ならない企業などの規模
民間企業
一般の民間企業
1.8%
常用労働者数56人以上
特殊法人など
2.1%
常用労働者数48人以上
国、地方公共団体
2.1%
職員数48人以上
都道府県等の教育委員会
2.0%
職員数50人以上
  なお重度身体障害者または重度知的障害者については、その一人の雇用をもって、二人の身体障害者または知的障害者を雇用しているものとして計算される。また短時間労働者は原則的に実雇用率にはカウントされないが、重度身体障害者または重度知的障害者である短時間労働者(1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者)については、一人分として計算することとなっている。
●  一般民間企業で、法定雇用率未達成企業は58.3%
  調査結果によると、法定雇用率が未達成の一般の民間企業は58.3%、特殊法人などでも52.9%となっている。
  企業規模別にみると、雇用されている障害者の数は、すべての企業規模で前年より増加したが、企業規模が大きくなればなるほど未達成企業割合が高くなっており、特に大企業は、このような状況においてもさまざまな対策をしているものの、障害者雇用の問題に頭を痛めている。
  例えば、従業員1,000人の企業の場合、原則として17人の障害者を雇用しなければならないが、企業によっては実際に雇用することは難しいところも多く、できる限りの範囲で対応しているのが実態である。
●  障害者雇用率に満たない事業主には、不足人数一人につき5万円の納付義務
  法律で定められていても、結果的に法定雇用率を遵守できない企業があるのは確かであり、このままでは障害者雇用の促進につながらない。そこで障害者雇用促進法では、「障害者雇用納付金」の制度を設け、雇用する障害者の数が障害者雇用率に満たない事業主には、不足人数一人につき月額5万円の障害者雇用納付金の納付を義務付けている(当分の間は、常用雇用労働者数が300人以下の事業主からは、納付金を徴収しないことになっている)。
  事業主には「障害者の雇用の促進等に関する法律」の基本理念に従って、現実に職を求める障害者に対し、その能力に応じた雇用の場を提供し、場合によっては職務開発を行って雇用する姿勢が求められている。
参考:厚生労働省発表「身体障害者及び知的障害者の雇用状況について」
(庄司 英尚、社会保険労務士)
2005.01.11
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