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経産省、ポスト産業再生機構に向け研究会設置
  経済産業省は、産業再生機構に代わる企業再生手法を検討するため、「企業活力再生研究会」を立ち上げた。企業再生の公的な担い手だった産業再生機構の債権買い取り期限が今年3月末に迫っているためだ。研究会は企業再生の実務経験者や有識者で構成される。私的整理や法的整理などの再生手法が抱える問題点を整理し、円滑活用のための具体策を提示するのが狙いだ。
●  再生機構の債権買い取りは3月まで
  産業再生機構は、2003年4月に経営不振企業の事業再生を目的として官民で共同設立した株式会社である。事業再生とは、過剰債務企業の中核事業が競争力を持っている場合、過剰債務の原因である不採算部門を中核事業から分離し、競争力を回復することを指す。事業再生を進める際、主力銀行と非主力金融機関の間で調整が困難な場合、中立的立場で調整して債権を買い取り、集約するのが機構の役割だ。必要があれば出資をして最大株主となり、経営権を握って再生計画を進める権限もある。
  カネボウやダイエーなどの大型案件は債権を持つ金融機関が数十社に上り、民間の再生ファンドでは利害関係の調整が難しいため、産業再生機構に持ち込まれた。債権買い取り決定までの間、産業再生機構から、金融機関などに対して抜け駆け的な回収をしないよう一時停止を要請した。債務者やメインバンクにとっては再生計画の調整がしやすくなるというという利点もあり、すでに支援決定案件は30件以上に上っている。
  ただこうした企業再生は民間の投資ファンドなどが担うのが本来の姿であることから、債権の買い取り期限は今年の3月31日と決められていた。そこで産業再生機構は、買い取った債権の保有者として債務企業の経営再建に注力する。そして買い取った債権は、3年以内に外部に売却する決まりとなっている。従って遅くとも2008年春までに機構はなくなることになる。
●  地方の不良債権処理はこれから本番
  しかし不良債権処理が順調に進んでいるわけではない。深刻なのが地方銀行だ。大手都市銀行の不良債権比率が平均4%台なのに対し、地銀は10%台の銀行も目立つ。企業活力再生研究会は産業再生機構の買い取り期限が切れた後、とりわけ、地方の不振企業の不良債権処理をどう進めるかを検討する。機構でノウハウを得た人材が、民間に移って活動しやすいよう制度上の問題を洗い出すことも議論の対象となる。こうした課題を検討し、今年4月に提言としてまとめる方針だ。
2005.01.11
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