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保険業法の対象となる無認可共済
●  無認可共済は3種類の取り扱いのいずれかを適用
  次期通常国会において保険業法を改正し、新たに無認可共済(根拠法を持たない共済)を規制することになった。保険業法改正の答申をまとめた報告書によると、無認可共済は次の三つの取り扱いのうち、いずれかが適用されることとなる。
  1. 従来の保険会社と同様の商品を扱う無認可共済は、保険会社と同じ保険業法の規制の対象となる。
  2. 保険期間が短く、保険金が少額(見舞金、葬儀費用、個人の物損など)である商品を取り扱う無認可共済は、「少額短期保障事業者(仮称)」として保険業法に特例を設けて規制の対象とする。
  3. 労働組合が組合員向けに実施、または企業が従業員向けに実施する共済のように、構成員が完全に限定されている無認可共済は、従来どおり規制対象外とする。
  ここで注目されるのは、新しい規制対象となる少額短期保障事業者だ。この事業者への規制には、従来の保険会社と同様の規制が適用される部分と、緩和される部分、一層制限される部分がある。
●  商品審査は事後審査を強化
  従来の保険会社とほぼ同様の規制となるのは、株式会社または相互会社のいずれかの形態を取るものとしている点だ。ただしこれには一定の猶予期間や激変緩和措置が持たれる。また少額短期保障事業者は原則として専業事業者とし、募集規制も従来の保険会社と変わらない。
  保険数理上も保険会社と同様の責任準備金の積立義務を課し、保険数理人の関与や事業規模に応じた保証金の供託も義務付ける。また決算書類を作成して営業所に備え置かなければならない。さらに行政当局の検査・監督対象となり、支払能力についても監督される。
  規制が緩和されるのは、参入規制が免許制ではなく登録制となる点だ。また一定の財産的な要件も課されるが、これはあまり厳しいものにはされない。商品審査については、行政庁による事前審査は最小限にとどめ、事後チェックに重点を置くことになる。
  さらに少額短期商品であることから、契約者保護機構(セーフティネット)を設けないことも検討されている。
  一層規制が強化されるのは、資産運用における制限で、流動性の高い預金や国債等での運用を義務付けられる。
  契約が更新される商品については、更新時に保険料や保険金などの水準が見直される可能性があることを約款へ記載することを義務付け、同時に契約者にも周知しなければならない。
  今後は、この報告書の内容を保険業法改正にどう反映していくかが焦点となる。
参考:金融庁金融審議会金融分科会第二部会「根拠法のない共済への対応について」(2004年12月)
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.01.17
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