>  今週のトピックス >  No.964
市場化テストは3分野限定
●  「官から民へ」 市場化テスト創設に向けて第1次答申案を提出
  オリックス会長の宮内義彦氏が議長を務める政府の「規制改革・民間開放推進会議」が、第1次答申案を小泉純一郎首相に提出した。
  行政サービスの実施主体を、民間事業者が参加した入札で決める「市場化テスト(官民競争入札制度)」の創設を柱としている。しかし市場化テストで、モデル事業の対象となっている社会保険庁とハローワークの主要業務が、まったく民間に開放されないことが明らかになった。これは村上規制改革相と尾辻厚生労働相との折衝で決定した。一部の周辺業務は入札対象となったものの、入札採用が期待されていた「国の予算によるハローワークでの職業紹介」や「年金保険料の強制徴収」は、厚生労働省・社会保険庁の抵抗で見送られ、骨抜きとの批判が与・野党内外から出ている。
  市場化テストとは「官民競争入札」とも呼ばれ、さまざまな公共サービスについて「官」と「民」がコストやサービスの品質両面で競い、優れた方が落札するという仕組み。小泉内閣が進める「官から民へ」の「官製市場改革」の重要な柱となっている。
●  第1次答申案の要旨
  規制改革・民間開放推進会議が提言する第1次答申案「官製市場の民間開放による『民主導の経済社会の実現』」の要旨は次の通りである。
1. 民間開放推進の横断的手法としての「市場化テスト(官民競争入札制度)」
(1) 「市場化テスト」の内容および意義(略)
(2) 2005年度に試行的に導入するモデル事業
ハローワーク関連
  • キャリア交流プラザ事業の「公設民営」
  • 若年者版キャリア交流プラザ事業の「公設民営」
  • 求人開拓事業の民間開放
  • アビリティガーデン(障害職業能力開発促進センター)における職業訓練の民間開放
社会保険庁関連
  • 国民年金保険料の収納事業
  • 厚生年金保険、政府管掌健康保険の未適用事業所に対する適用促進事業
  • 年金電話相談センター事業
行刑施設関連
2. 個別官業の民間開放の推進
給付、徴収業務
  • ハローワーク関連業務
  • 社会保険関連業務
  • 地方税の徴収
  • 貿易保険業務
  • 若年退職給付
公的施設等の整備・管理・運営
  • 森林管理局保養所
  • 船員保険保養所
  • 政府管掌健康保険保養所
  • 厚生年金基金センター
  • 国立少年自然の家、国立青年の家、国立オリンピック記念青少年総合センター
  • 国立女性教育会館
  • 庁舎・宿舎
  • 防衛施設
  • 行刑施設
統計調査、製造等
  • 統計業務
  • 酒類の研究
  • 競売
  • 日本人船員の育成
  • 救急業務
  • 航空管制業務
  • 事故処理関係事務
  • バックオフィス(内部管理業務)
検査・登録、資格試験等
  • 自動車保管場所証明手続き
  • 自動車登録
  • 登記事務
  • 公証事務
  • 工業所有権登録
  • 種登録
  • 農薬の登録、肥料の銘柄登録
  • 農機具の検査
  • 自動車道の検査
  • 検疫
  • 動植物検疫
  • 運転免許試験
  • 砂利採取業務主任者試験、採石業務管理者試験
3. 主要官製市場の改革の推進(略)
参考:規制改革・民間開放推進会議「規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申」
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.01.17
前のページにもどる
ページトップへ