>  今週のトピックス >  No.966
企業の交際費支出抑制続き、7年連続減少
●  1,000円あたりの交際費支出は過去最低
  国税庁がまとめた「2003年分法人企業の実態調査」によると、今年1月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などで使った交際費は、3年連続で4兆円台を割り込む前年比▲7.4%(2,781億円)減の3兆4,645億円だった。これで7年連続の減少となった。ピーク時の1992年分の6兆2,078億円から6割弱まで減少したことになる。
  また営業収入1,000円を得るための交際費は2円47銭で、1951年分の調査開始以来、過去最低の数字となった。業種別にみると、「建設業」が5円58銭と5年連続でもっとも高く、次いで「不動産業」(5円24銭)、「出版印刷業」(4円24銭)などが続く。一方、低いのは、「金融保険業」(1円43銭)、「卸売業」(1円61銭)、「機械工業」(1円61銭)の順となっている。
●  微増も上昇に転じた黒字法人割合
  2003年分の法人数は255万3,135社で、前年より3,048社(0.1%)増加した。このうち、連結親法人は206社、連結子法人は2,569社となっている。連結子法人を除いた255万566社のうち、黒字法人は全体の31.9%を占める81万3,184社で、残りの173万7,382社は赤字法人となった。黒字法人の割合は前年に比べ0.8ポイント増と上昇に転じた。しかし連結法人の赤字法人割合は81.6%と高く、連結効果が反映した形となった。
  黒字法人割合は上昇に転じたものの、過去を振り返れば1991年分では50.3%と、黒字法人の方が上回っていたのだから、現在の約7割が赤字法人という状況は異常事態といえる。
●  益金処分での役員賞与が占める割合は過去最低
  2003年分の営業収入金額は、前年に比べ▲2.5%(36兆2,871億円)減の1,402兆3,469億円となるとともに、交際費支出額が7年連続の減少となった。黒字法人の営業収入金額は865兆9,649億円で、前年に比べ▲3.5%(31兆7254億円)減という状況にある。
  また黒字法人の益金処分総額は▲0.1%減の35兆8710億円だが、役員賞与5,132億円(構成比1.4%)、支払配当4兆4,183億円(同12.3%)、法人税額9兆817億円(同25.3%)、その他の社外流出5兆1,322億円(同14.3%)で、これらを差し引いた社内留保16兆7,256億円は過去最高となる46.6%を占めた。反対に役員賞与が占める割合1.4%は過去最低。
  交際費の支出額3兆4,645億円のうち、税法上の限度額を超えたため損金算入されなかった金額は、前年に比べ▲10.5%減の1兆9,450億円と大幅に減少した。損金不算入割合は56.1%で前年より2.0ポイント減った。周知のように資本金5,000万円以上の企業の支出交際費は全額損金不算入だ。2003年度改正で損金不算入割合が10%引き下げられたが、中堅・大企業は引き続き交際費の支出抑制に努めたことが数字に表れている。
参考:国税庁「税務統計から見た法人企業の実態」
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2005.01.17
前のページにもどる
ページトップへ