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保険契約者保護機構の見直し
●  変額年金保険は保護の対象外へ
  昨年12月の金融審議会金融分科会第二部会において、保険契約者保護機構の見直しに関する報告書がまとめられた。これを受けて、今年の通常国会において保険業法改正案が提出される。
  生命保険契約は、再加入の困難さの観点から保障商品と貯蓄商品の取り扱いが分かれる。変額年金保険は、再加入が困難ではないことやほかの投信信託などと整合性を合わせるため、特別勘定での厳密な分別管理を前提に契約者保護の対象外とされた。
  破たん時の補償の割合は、現行制度では責任準備金などの90%までとなっているが、契約者に分かりやすいように、保険金額に対する補償割合とすべきとされている。また破たん時に行われる予定利率の引き下げや早期解約控除が契約者の権利を損なっていることから、何らかの基準が設けられることになる。
  保護機構の財源である各保険会社から保護機構への拠出を、事前に拠出し積み立てる事前拠出方式から事後拠出方式に切り替えるという点は意見がまとまっていない。また生命保険会社だけでなく国も財源を拠出するという現行の枠組みに関しては、生保財政が安定しつつあることなどから、保険会社だけで拠出する方向が強まった。
●  損害保険は個人等の保護に重点
  損害保険契約は、現行は原則として責任準備金などの90%補償であるが、10%が契約者の自己負担となってしまうことと、ほかの契約への再加入も容易であることから、破たん後の3カ月程度は100%保護することとし、その後の補償の割合は現行よりも引き下げる方向だ。
  補償の対象となる損害保険種類も見直され、今後は、一般に情報収集力が弱いとされる個人や小規模事業者が契約者になっている契約の補償に重点を置く。なお被害者救済も大きな目的となっている自動車保険は、契約者を問わず補償の対象となる。
  第三分野の保険契約は、生保・損保両業界の契約が混在していることから、現行の補償水準である90%の責任準備金などの補償を継続する。ただし、損保会社が大半の契約を扱っている短期の傷害保険は、上記の損害保険と同様所定の猶予期間後は補償割合を引き下げることになる。
参考:金融庁金融審議会金融分科会第二部会「保険契約者保護制度の見直しについて」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.01.24
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