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冬のボーナス上昇は景気への弾みとなるか?
●  冬のボーナス増えた?
  損保ジャパンDIY生命が1月18日に発表した2004年冬のボーナスに関するアンケート調査によると、2003年冬のボーナスに比べて手取り額が「増えた」と答えた人の割合は37.6%と、昨年の24.2%に比べて増加した。
  2003年冬のボーナスに比べて「減った」と答えた人は、30.8%(前年53.0%)で、「増えた」と「減った」が逆転した。調査はサラリーマン世帯の主婦500人を対象に実施した。回答者の平均年齢は39.4歳。同社はこの結果を「景気回復で企業収益が改善したことが大きい」と分析している。
  また同社調査によると、ボーナスの平均手取り額は前年冬より1万9,000円増え68万8,000円だった。最も多いのは「40万円から49万円」(14.0%)で、「50万円から59万円」(12.8%)と続いた。金額について回答者のコメントを見ると、「仕事ぶりからみるとかなり少ない」(34.8%)、「やや少ない」(37.8%)という意見が多かった。
●  春季労使交渉スタート
  一方、日本経団連と連合は1月18日、経団連会館で首脳懇談会を開き、賃金のあり方などを話し合う今春の労使交渉を事実上スタートさせた。上場企業の2005年3月期連結経常利益は2年連続の過去最高が見込まれるなか、前年の交渉とは様相が一変し、好業績下の成果配分が争点となる模様だ。
  懇談会には経団連の奥田碩会長(トヨタ自動車会長)、連合の笹森清会長らが出席し、今春の労使交渉について初めて意見交換した。
  笹森会長は、「業績回復が見込まれる企業が増えているが、これは働く者の犠牲と貢献の上に成り立っている」と指摘し、ベースアップを要求。さらには「業績回復分をどう雇用、賃金、労働条件に還元させるかが重要課題だ」と主張した。
  経団連も、昨年までの賃金抑制姿勢からは軟化している。しかし企業や従業員ごとに賃金評価基準の多様化が進むなか、横並びのベースアップ(ベア)をめぐる従来型交渉は「役割を終えた」という立場も強調。懇談会でも柴田昌治副会長(日本ガイシ会長)が「毎年だれもが自動的に昇給するという制度は見直すべきで、横並びのベアができる余地は少ない」と主張した。奥田会長も懇談会終了後、「賃金を引き上げるかどうかは個別企業の判断」と述べた。
●  給与水準の持ち直し傾向
  冬のボーナス上昇と企業利益の向上により、個人消費が上昇すると考えるのは時期尚早のように思う。前年以前というのはすでに、相当に給与水準が下がってきており、それが若干持ち直したと見るのが妥当であろう。また給与水準の二極化も鮮明になってきている。
  以上のことから、好景気への弾みと考えるのはまだ早いだろう。
出典:損保ジャパンDIY生命「2004年冬のボーナスと家計の実態調査」アンケート
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.01.24
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