>  今週のトピックス >  No.971
新卒者採用と採用方法の現状
●  2004年に新卒を採用した企業は大幅に増加
  昨年の4月に入社した新卒者の採用プロセスを調査した結果が、1月20日、日本経団連から報告された。回答企業のうち、採用人数を増加した企業は51.0%と半数以上で、2003年の35.1%に比べ大幅に増加した。採用人数を減少した企業は18.9%だったものの、2003年の26.4%から7.5ポイントの減少は、新卒者の採用が増えたことを表している。なお新卒採用をしなかった企業は12.4%だった。景気回復を受けて、事業拡大のための人材を確保する企業が増えてきていることが分かる。
  採用スケジュールは図表のように、4月に採用を開始し、半年かけて内々定を出し、終了するのが平均的である。「採用活動の終了時期を早めた」企業は8.8%(前年度15.3%)に留まり、「終了時期が遅くなった」企業は26.2%と、前年度(10.1%)から16.1ポイント増加した。
  採用手順として、会社説明会と選考会を分離実施しているのが63.0%と過半数を占める。また説明会・選考会を複数開催した企業が全体の85.0%と大部分を占め、しかもそのうちの90.5%が複数開催は効果があったと回答している。
●  通年採用する企業は全体の約3割で、秋季採用が盛ん
  通年採用も全体の29.7%の企業が実施している。通年採用の内訳は、「年間を通した随時採用(47.3%)」と「通常の採用時期と秋季採用の2本立て(46.8%)」のいずれかだ。しかし、2003年度の年間を通した随時採用が63.8%だったことを考えると、随時採用は大幅に減少し、2本立て採用(前年度28.4%)が増えてきているのが分かる。
  リクルーター制度は28.8%と、約3割の企業が採用している。またオープンエントリー(公募制)を73.3%の企業が採用しており、オープンエントリー採用がかなり普及してきたようだ。
  大学名を不問とする企業は37.7%と約4割に過ぎない。また学生のエントリーのルートをインターネットのみとする企業が63.9%、郵送方式とインターネット方式の併用が23.5%、郵送のみのエントリーが10.2%と、就職に当たって、学生にインターネットは必要不可欠なものとなっている。
  選考方法を見ると、採用試験は面接と筆記の併用が78.5%、適性試験実施が47.1%、面接試験のみが19.1%である。筆記試験の内容は一般常識が64.0%、小論文が31.5%、外国語が25.0%となっている。
  職種別採用については、40.5%の企業が実施している。導入した分野は、営業・販売職(50.5%)が最も多く、経理・財務職、SE、法規・法律職の順になっている。ちなみに新卒の採用予定派遣は5.8%が利用しているに過ぎない。なお「海外大学卒業者の採用を行なった」企業が20.4%と、前年度(17.6%)と比べ2.8ポイント増加した。採用対象者を国内に限らず、海外大学の卒業者にも広げている実情がうかがえる。
【図表 新卒採用の開始時期と終了時期】
図表 新卒採用の開始時期と終了時期
参考:(社)日本経済団体連合会「2004年度・新卒者採用に関するアンケート調査集計結果」(2005年1月)
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.01.31
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