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窓販解禁以降、めざましい変化を遂げる投資信託市場
●  窓販解禁以降、公募株式投資信託が急速に成長
  この5年間で投資信託市場は大きく様変わりした。その理由は言うまでもなく、1998年12月の銀行窓販の解禁によるところが大きい。
  そこで今回は、1987年以降の投資信託に関するデータを見ながら、5年間で投資信託市場がどのように変化したのか、そして今後の動向を見ていく。
  まず公募投資信託(以下、公募投信)全体(注1)と公募株式投資信託(以下、公募株式投信)(注2)の純資産残高の推移を図1で確認してみる。
【図1 1987年以降の公募投信および公募株式投信の純資産残高推移】
図1 1987年以降の公募投信および公募株式投信の純資産残高推移
  このグラフから、
  1. 1987年以降の公募投信残高は、35兆円から50兆円の間を推移している。
  2. 公募株式投信の純資産残高は、1987年以降増加しており、2004年末では最高の残高となった。
という2点が分かる。特に注目されるのは、銀行窓販解禁以降に、公募株式投信の純資産残高が着実な増加をたどっていることだ。銀行窓販によって、公募株式投信の市場は着実に、そして急速に成長を遂げているのである。
  しかし純資産残高という定義は、あくまでその時点の時価評価によって行われるものである。仮に資金がまったく流入せず、すでに投資信託に組み入れられている有価証券の価値が上昇した場合でも、純資産残高は増加するという性質を持っている。そのため「純資産残高が増加したのは、組み入れ有価証券の価値が増加したのであり、本当に市場が拡大しているかは分からないのはないか?」という疑問を持つかもしれない。
●  純資金流入額の増加は、変額年金の窓販も大きく影響
  次に、実際に公募株式投信の純資金流入額(注3)に関するデータを図2で見てみる。
【図2 1987年以降の公募株式投信の純資金流入額推移】
図2 1987年以降の公募株式投信の純資金流入額推移
  1998年以降、純資金流入額は、1999年を除いて毎年2兆円を突破している。しかも昨年の純資金流入額は約4兆3,500億円と、過去最高だったバブル時代の1990年の4兆6,800億円に次ぐ高い水準だった。
  この純資金流入額は、窓販解禁の時期と一致して増加し始めていることから、銀行投信窓販がその背景にあることは間違いないと言える。さらに近年は、メガバンクを中心に変額年金窓販が本格化しており、この変額年金を経由して、投資信託市場に一層の資金流入が起きている。
  公募株式投信を取り巻く環境はここ5年間でこれだけ大きな変化を遂げている。従って、今後5年の間に、投資信託を取り巻く環境、ひいては個人の資産運用のスタイルが大きな変化を遂げることはほぼ間違いないだろう。
(注1) 公募投資信託とは、一般の投資家に広く募集されている投資信託で、銀行の窓口や証券会社の窓口で一般の個人投資家が購入できる投資信託はこれに該当する。
(注2) 投資信託協会の分類では、投資信託は、組み入れることができる有価証券の種類によって「株式投資信託」「公社債投信」「MMF」の三つに大分類される。そのうちの株式投資信託とは、「運用する有価証券に株式を組み入れることができる投資信託」をいう。実際は株式では運用されず100%債券で運用される投資信託であっても、目論見書上では株式を組み入れることが可能となっていれば、分類上は株式投資信託へ分類される。なお昨年末の銀行窓販の投資信託の純資産のうち、9割以上が株式投資信託となっている。
(注3) 純資金流入額とは、新たに投資家が購入(設定)した資金から、解約額および満期償還額を差し引いた差額。
参考:社団法人 投資信託協会
2005.01.31
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