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日本企業の格上げ急増―好業績で信用力アップ
  日本企業の格付けが急上昇している。格付けとは、債券を発行する企業や国が債務不履行(デフォルト)を起こす可能性の度合いを示したもの。つまり資金が増え、借金を踏み倒す可能性が減れば格付けは上がる。財務力があり、債務不履行が最も起こりにくい企業を、格付け会社が「AAA(トリプルエー)」などと評価する。
  格付けは、格付け会社が財務データや聞き取り調査をもとに決め、投資家が投資判断をする際の重要な指標となる。格上げ企業が増えているということは、日本企業の業績が上がり信用力が回復している証拠だ。
●  格上げ1年で10倍に
  米国の大手格付け会社M社は2004年、1年間で115社の日本企業を格上げした。前年の格上げはわずか17社。逆に格下げは2003年の27社から2004年は2社に減った。日本の格付け会社R社は発足した1998年以来、初めて1年間の格上げ社数が、格下げ社数を上回った。2004年の格上げ企業は50社と、2003年の11社を上回り、格下げ企業は26社と前年の56社から減少した。こうした傾向は国内外の格付け会社を問わず見られる。
  事業会社で格上げが目立つのは鉄鋼、化学、機械などの製造業。海運や商社も多かった。こうした業種は中国の特需をもっとも受けやすく、実際2004年度に過去最高益の企業が多い。利益が増えて業績が良くなれば、財務内容が改善して信用力が高まる。その結果、格付けが上がれば、投資家はデフォルトのリスクが低いとみて、金利が低くても積極的に投資する。企業にとってみれば資金を市場から安く調達できる。企業にとって格付けが上がるということは、業務内容を拡大するチャンスなのだ。
●  格下げ企業は投資家敬遠
  一方脆弱(ぜいじゃく)な財務体質が明らかになったり、経営不振に陥ったりすると、たちまち企業の格付けは下がる。格付けが下がると、投資家はデフォルトのリスクに敏感になり、利率が高くならないと投資しなくなる。つまり、企業の資金調達コストは増え、財務内容はさらに悪くなりかねない。
  日本企業の格上げが増えていることは日本企業の信用力が上がり、資金が集まりやすくなるということを表している。その資金を高収益な事業に再投資して、企業の能力を引き上げ、さらに事業拡大できるかどうかが、いま日本企業に問われている。
2005.02.14
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