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意外と知らない医療費控除
●  医療費控除の対象となる在宅療養の介護費用の証明について
  2月1日、国税庁個人課税課から、下記のような「医療費控除の対象となる在宅療養の介護費用の証明について(情報)」という取り扱いが通達された。
  身体障害者の在宅療養に係る介護については、平成15年4月から支援費制度によって実施されており、この費用のうち一定のものについては、所得税法第73条及び所得税基本通達73-6に基づき医療費控除の対象として取り扱っているところである。
  厚生労働省においては、その旨を厚生労働省通知「医療費控除の対象となる在宅療養の介護費用の証明について」により周知しているところであるが、厚生労働省がこの通知を改正しているので了知されたい。
  なお、この改正は、支援費制度に係る報酬体系について、「身体介護」の一部とされている通院等のための乗車・降車の介助について、「乗降介助」として独立した報酬体系としたことによるものであり、「身体介護」については、本人負担額の全額を医療費控除の対象としていることから、「乗降介助」についても本人負担額の全額を医療費控除の対象として差し支えない。
●  意外と知らない医療費控除
  医療費控除とは、年間の医療費が一定額を超える場合に適用できる所得控除である。この一定額とは通常10万円(所得200万円以下の人はこのラインが下がる)。つまり年間の医療費が10万円を超える場合に、その超える部分が医療費控除の対象となる。
  この医療費控除の概要を知っている人は多いだろう。しかし自分が昨年1年間でかかった医療費についてのみ、控除が可能と思っているのではないだろうか。
  実は、自分の分だけではなく、生計を同一にする配偶者や親族の分も自分が医療費を支払うようにすれば、すべてまとめて医療費控除を受けられる。つまり自分の医療費控除の領収書だけでは10万円に満たない場合でも、生計を一にする親族の医療費も合わせて、10万円を超えるかどうか考えればいいのである。
  生計を同一にするとは、財布を一つに生活していることを言い、必ずしも同居していなくてもよい。また扶養していなくてもいい。つまり別居の親やフリーターの子どもなども場合によっては対象になるのである。
  控除額を多くしようとするなら、生計を一にする親族内で、一番所得が多い人が医療費控除を受けるとよいだろう。工夫次第で、医療費控除によって多くの還付を受けることができる。
参考:国税庁「医療費控除の対象となる在宅療養の介護費用の証明について(情報)」
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.02.21
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