>  今週のトピックス >  No.991
成果主義の浸透と従業員の納得感
●  賃金・賞与への納得感は低下
  成果主義の運用方法について見直しの動きが出始めているが、成果主義を従業員がどのようにとらえているかの調査結果がまとめられた。
  成果主義は賃金の面では、業績給、成果給という形で反映されている。この賃金制度について従業員は、3年前と比べて、29.3%が「業績がより反映されるようになった」、60.6%が「変わらない」という回答した。この結果から、3割程度の会社が3年間で成果主義型の賃金に移行していることが分かる。
  一方で、3年前と比べた「評価の賃金・賞与への反映に対する納得感・公平度」について、設定された目標への納得感が「高まった」が13.8%、「低下した」が12.2%となっている。さらに、「目標達成に向けた努力への評価に対する納得感」は、「高まった」が12.0%、「低下した」が19.1%となっている。「仕事の成果や能力への評価に対する公平感」は、「高まった」が10.9%、「低下した」が20.0%であった。
  また「評価の賃金・賞与への反映に対する納得感」は、「高まった」が9.7%、「低下した」が29.9%と、低下したという回答が多い。
  目標設定→努力→成果→評価→賃金・賞与での反映というプロセスの中では、プロセスの後半に行くほど納得感が低下している。目指すべき目標の設定には自己の関与もあり、ある程度納得できるが、努力・成果に対する評価には納得がいかなくなっているということであり、景気の低迷、経済環境の変化の中で努力が成果につながりにくくなっていることが分かる。しかし従業員は、それを織り込んだ評価を望んでいる。
  評価の賃金・賞与への反映度になると一層納得感が低下する。限られた報酬原資の中で、結果的に相対的な評価になってしまい、成果と賃金・賞与が連動しなくなっているためである。
●  職場のストレスも一層高まる
  成果主義の導入が職場の雰囲気にもたらす影響については、「職場の業績や成果をあげようという雰囲気」は、「強まった(やや強まったを含む)(37.6%)」が、「弱まった(やや弱まったを含む)(12.4%)」を大きく上回っている。そして「ゆとりをもって仕事をする雰囲気」は「強まった」が12.3%と少なく、「弱まった」が33.3%と、3分の1を占めている。
  こうした職場の雰囲気を受けて、63.3%が「仕事に対するストレスが強まった」としており、「弱まった」の10.3%を大きく上回っている。なおストレスの理由としては、会社の将来性、重い責任、多い仕事量、雇用の不安定感、長い労働時間などが挙げられている。
  成果主義の導入時期が、景気の低迷期と重なったため、職場の雰囲気は一層重苦しいものになっている。今後の経済環境の変化に対応できた企業においては、努力・成果を前向きに評価できる成果主義が運用されていくと思われる。
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査」(2004年6月発表)
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.03.07
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