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納税者番号制度は重要―政府税制調査会
●  政府税調「納税者番号制度は重要」
  小泉首相は参院予算委員会で、「年金一元化の議論の際に、必ず納税者番号制度の議論が出てくる。納税者番号制度はこれからの社会に必要であり、望ましいと思っている」との考えを示した。
  また「全部の所得を把握するのか、金融資産だけか、社会保障か。どの程度まで番号を付け、所得を把握するかはこれからの議論だ」と指摘。さらに首相は、民主党が納税者番号の導入を主張していることについて、「民主党が早く協議のテーブルについて、どういう制度を考えているのか言ってもらえれば協議が始まる。自民党も案を用意しようとしている」と述べた。
  これを受けて政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は、「所得税も含め、最終的には資産課税になると思うが、課税の効率や適正化の視点からは納税者番号は重要。小泉首相もそういう問題意識を持っていると思う。論点はしっかり整理して示したい」と記者会見で語った。
  一方で、「納税者番号の基本的性格はマッチング。出し手と受け手が異なる場所でないと意味がない。その意味では、消費税の問題に直接納税者番号が絡むことはないと思う」との見解を示した。
●  納税者番号制度とは?
  納税者番号制度とは、納税者一人ひとりに番号を付け、所得や納税、金融取引の実態を把握しやすくするようにするものである。
  今までは“トーゴーサンピン”や“クロヨン”などと呼ばれ、自営業者や農家などの所得はガラス張りでないと言われてきた。特に所得がガラス張りのサラリーマンからは不公平感があった。その意味から、この納税者番号制度は税の不公平感を払しょくするものでもある。同時に金融所得の課税一元化に伴って必要性が高まっている。その一方で、番号によって個人情報が分かるため、「プライバシーの侵害ではないか」といった指摘や、国による国民管理が強化されるとの懸念も強い。
●  税金と社会保険料の一元化
  納税者番号制度を導入するためには、さまざまな議論が必要だ。1960年以降始まった諸外国の納税者番号制度も、韓国と米国では制度設計が違う。他国の例も参考にしながら、日本に合った制度の形が必要だろう。
  もし国民の多くの同意のもと、納税者番号制度を導入することになるのであれば、合わせて「税の徴収の矛盾」も解消されることを期待する。
  広く税というものをとらえたときに、「税金」以外にも税金に準ずる位置付けとして「社会保険料」がある。税金や社会保険料を払っている側からすれば、これらは税金と同じなのである。そうであれば、税金と社会保険料の一元化を期待する。これにより、昨今の年金の徴収問題も解消されることになるだろうし、徴収効率も上がることは間違いない。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.03.14
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