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2004年の賃金の状況
●  男性賃金は3年連続で低下
  厚生労働省から、2004年の賃金統計調査の結果が報告された。ここでいう賃金とは、2004年6月の賃金であり、賞与や残業手当は含まれていない。
  まず年齢階級別にみると(図表1)、男女ともS字曲線を描き、50歳代後半になると賃金の伸びが鈍化する。また男女別にみると、新卒では賃金はほぼ同一水準であるが、その後の伸びが男女で異なり、女性は30歳代後半から伸び悩み、40歳代後半では13万円以上差が開いてしまう。なお、これはパートタイムを除いた平均値である。それでもこれだけ賃金格差が存在している。
  時系列で見て、過去30年のトレンドをみると、男女とも右肩上がりで賃金は上昇している(図表2)。80年代後半のバブル期には、男性については一段の賃金上昇があったことが伺われる。また男性については、95年頃から賃金上昇が足踏み状態に入り、2002年からは逆に賃金は3年連続で低下し続けている。
●  女性賃金は堅調に上昇
  一方、女性の賃金は、右肩上がりの状況が現在まで一貫して継続している。この男女の賃金の伸びの違いを根拠をもって説明するのは難しいが、女性賃金が、バブル崩壊後の賃金抑制の影響を受けなかったということではなく、賃金が低下した女性がいる一方で、賃金が上昇した女性もまた多くいたということであろう。
  企業規模別でもやはり顕著な差がある(図表3)。図表でいう大企業とは従業員1,000名以上、中企業とは100名以上を指す。入社時点では、業規模ごとの賃金格差は存在しないが、次第に格差は拡大している。企業規模によって賃金の上昇が鈍くなり、横ばいになる時期が異なるということである。
【図表1 男女別年齢階級別賃金(大卒)】
【図表1 男女別年齢階級別賃金(大卒)】
【図表2 男女別賃金推計(学歴計)】
【図表2 男女別賃金推計(学歴計)】
【図表3 企業規模別年齢階級別賃金】
【図表3 企業規模別年齢階級別賃金】
参考:厚生労働省「平成16年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.03.22
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