A社の貸付金1,500万円の発生時期は、A社が貸しビル業を営んでいた時代で、今から10年以上前のものです。
その頃は今と違い、随分いい加減な経理をしていたようです。
貸しビル業ですから、物件購入費や修繕費など多額のお金が発生する業界ですので、そういった費用であったのかもしれません。しかしよくわからなかったということで、結局プライベート費用として処理され、税務調査でもそのような説明をしてきました。
貸借対照表に、貸付金や仮払金が計上されていると、良い事はありません。
税務上では、その貸付金や仮払金に対して認定利息を計上することを要求します。つまり会社の決算書上に、受取利息を計上して、その分、余分な税金を払わないといけないことになります。
しかもその利息を個人が払うということは通常行われておらず、それが未収利息となり、貸付金が雪だるま式に増額していくということになります。
また金融機関の目からは、多額の貸付金や仮払金の存在というのは、その会社の管理機能の低下と見ます。いくら収益の構造がしっかりしていても、どこかにその儲けたお金が流れている構造であるとみて、融資の対象とされにくいんです。その他にも近年、金融機関の融資において重要視している「格付」審査上も、悪い評価となるようです。
結果として融資金利の上昇という形で跳ね上がり、高い金利を払わされる羽目にもなりかねません。
先ほどのA社ですが、もともとは貸しビル業を営んでいたのですが、近年業態転換を行い、ビル管理業者に対するコンサルティングサービスを主力事業として行っています。このサービスがなかなか好調で、近年売上が順調に増加しています。それに伴い、社長は、近い将来の上場というのも視野に入れているようです。そんな中、ある取引先の金融機関担当者に冒頭の指摘を受け、それで税理士である私に相談をしたのです
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