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税理士が見る生命保険販売のツボ
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雑収入という恐怖
  先日こんなことがありました。
  入院先から復帰したての社長が、電話越しに怒鳴っているのです。
「どういうことやねん!個人の通帳に振り込んでくれたらいいねん」
「・・・・・・」
「会社に振り込んだら税金とられるやろ!」
  ガチャンと電話を切った目の前に私が立っていましたので、
「先生、ちょうどいいところにいるわ。ね、ちょっと教えて、保険のことやねんけど・・・・・・」と、いきなり相談が始まりました。
  私としては、ちょうどいいところにいるというか、13時に社長とアポイントメントをとっていましたので、当然いるわけで・・・・・・。
  とりあえず席に着き、ゆっくり話を聞くことになりました。
医療保険の給付金が会社に入金されると課税対象になる
  社長の話を総合すると、こうです。
  工場での機械関係の仕事中にけがをして、入院することになった。知り合いの保険会社の人の勧めで医療保険に加入していたことを思い出し、すぐに手続きをとり、40万円ほどの給付金が入金されることになった。・・・・・・が、問題はその入金先です。
ケース
  現在、社長が経営する会社は、鉄鋼業界自体の追い風もあり好調で、今期も利益が出る予定です。そして問題は、その会社に40万円という給付金が入金されることになったこと。
  会社に入金されるということは、その40万円は会社では「雑収入」という勘定科目で入金処理をしなくてはなりません。
  ということは、その40万円に税金がかかってきて実効税率を4割とすると、約16万円の税金がかかります。また、たとえお見舞金という形で「福利厚生費」という勘定科目を使って経費処理をしたとしても、社会通念上認められる妥当な金額と考えると、今回の場合は10万円ぐらいとなります。
  すると、
(40万円ー10万円)×4割=12万円(納税額)
となってしまうのです。

「なぜ保険契約時にこういった説明をしてくれなかったのか」
社長は、これに怒っているのです。
事前に説明があれば、個人契約にしていたのに、と。
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医療保険は個人契約の方がよい
  私は実際の保険証券も拝見させていただきましたが、やはり会社契約になっていましたので、結果としては今となっては仕方が無いことを説明しました。
  しかし社長は最後まで事前説明がなかったことが納得できないとおっしゃっていました。これはある意味私も社長に同情します。いくら会社契約の場合、支払い保険料が費用になるとはいえ、医療保険は個人契約のほうがいいのではないでしょうか(最近では節税目的の医療保険もありますが、そういったものは除きます)。

  もし、今回の医療保険が個人加入であったなら、その医療保険の給付金には税金がかかりません。
  つまり今回のケースでは、個人加入なら40万円まるまる貰えて、法人加入の場合には法人の手取りが40万円ー12万円=28万円となってしまう。さらには、法人に入ったお金を個人に渡すにも所得税や住民税等の税金がかかってしまい、さらに手取りが減ることになります。

  今回の保険騒動の一件は、保険に加入するときにはきちんとしたコンサルティングが必要であるという良い事例ではないかと思います。契約者である経営者の側も、いわれるままに保険に加入するのではなく、今後のこと(保険金受取時など)もきちんと視野に入れて、わからない部分にはより詳しい説明を求めるべきなのかもしれません。
2005.08.22
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁