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税理士が見る生命保険販売のツボ
銀行による格付を意識した保険のススメ・基礎編
ケース
  「長期借入金の返済が1本終わりそうなので、その返済終了に合わせていつものように同額同期間の借入を申し入れたら、長期ではなく短期の手形貸し付けでお願いしたい、と銀行担当者に言われた。」
  「銀行担当者が突然やってきて、現在返済中の借入金について金利をもう少し上げさせてください、と言われた。」
  不況と言われるようになって、一体どれくらい経つのでしょう? 3年、5年、いや10年以上は不況と言われる時代が続いているのではないでしょうか。
  このように経営環境がなかなか好転しない中で、全国約290万社の中小企業と約400万社の個人商店、計700万にもおよぶ経営者が、日々努力を重ね、頑張っています。
  では、彼ら中小企業の経営者たちが、一番頭を悩ませている問題は何でしょうか?
中小企業経営者の悩みの種〜「不足資金」問題
  この長引く不況ということを考えると、それはずばりお金の問題ではないでしょうか。お金の問題と言っても、余剰資金や儲け話、ましてや投資うんぬんではないでしょう。
  この10年以上続く不況の中、全国に700万人いる中小企業と個人商店の「社長」たちの頭の中から片時も消えることのないお金の問題とはズバリ、「不足資金の問題」です。端的にいえば借入の問題。よく「銀行対策」などといわれているものです。
大きく変わる銀行と経営者の関係
  一方、いま銀行は大きく変わろうとしています。合併や新銀行設立など表面的な動きだけではなく、銀行の融資姿勢そのものが大きく変化しているのです。
  3年ほど前であれば、特に地方銀行や信金などにおいては、銀行担当者や支店長との人間関係の中で融資の実行が決まる、そういう部分がまだかなりのウェートを占めていました。経営者の方の中にも、銀行の支店長などとよくゴルフに行ったりされていたのではないでしょうか。
  しかし、そんな古き良き、牧歌的(?)な時代は終わったのです。
  いま、経営者と銀行との関係は冒頭のケースに紹介した相談事例に典型的に示されるような関係に変わりました。
  これらはいずれも、銀行の融資姿勢が変わったことによる現象と言えます。
  つまり、今までの「担保・保証人・取引実績・業界動向・企業の評判・融資シェア」などを総合勘案した支店長などとの人間関係という融資基準から、「格付」という融資基準に大きく銀行が変わったのです。まさに現在は、「銀行の企業格付」によって、融資が受けられるか否か、さらには金利水準・返済期間・返済方法までもが決まってしまうのです。
まず「銀行の企業格付」の仕組みを理解しよう!
  訪問の中でこうした相談を受け、それを新たな生保販売に結びつけたいのなら、まず第1ステップとして、「銀行の企業格付」というものの仕組みを理解することが必須でしょう。
  「格付」とは、銀行が融資先企業を自己査定してランク付けをすることをいいます。これは国(金融庁)からの指導のもとにおこなわれています。都市銀行であれ地方銀行であれ、また信用金庫であっても、ほぼ同様の制度となっています。
  「格付」の仕組みは、企業の定量部分と定性部分を点数化し、その合計点数によって企業を評価します。
  定量部分とは、数値化できる部分なので、「銀行に提出した決算書」によって財務分析をして点数化されます。この定量部分の評価が、格付全体の評価の約7〜8割を占めます。
  そしてもう一方の定性部分とは、数値化できない部分として、市場動向や業暦、経営者自身の資質などで分析されます。
経営者の悩みを生保販売のチャンスに!
  いかがでしょう。「格付」の基本的な仕組み、理解できましたでしょうか?
  第2ステップとなる提案に関しては「銀行による格付を意識した保険のススメ・応用編」で説明しますが、銀行による「企業格付」が中小企業などに対しても重視されるようになってきていることをお客さまにお知らせし、その基本的な仕組みを説明するだけでも、ずいぶん話題は広がります。
  まずは中小企業経営者たちの悩みをぜひ聞いてあげて下さい。新しい生保販売のチャンスがきっと見つかるはずです。
2005.09.12
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁