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税理士が見る生命保険販売のツボ
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会社設立7つのポイント〜会社法+税制改正対応版〜
  時代が大きく変わり企業をとりまく経営環境が大きく変化しました。とりわけ企業の資金調達手段の多様化は、現在も進行形で変化しています。以前であれば、企業の資金調達手段といえば、銀行からの担保・保証人融資である間接金融が中心でした。しかし最近では、銀行に頼らない間接金融が脚光を浴びています。そんななか、中小企業でも間接金融である社債を発行する企業が増えてきています。その中でも比較的簡単に発行できる少人数私募債(友人・知人が引き受け先)について解説します。
社長借入金を社債に振り替える
  例として、社長借入金が5,000万円ある会社でこの社長借入金を全額社債(少人数私募債)に振り替えるといったケースを想定してみます。そうすると、会社の貸借対照表上では、負債の欄にあった「社長借入金」が「社債」に置き換わることになります。金融機関や外部関係者からその会社の貸借対照表を見たときに、社長借入金が多額だとどうしても法人個人間の取引があいまいな会社ではないかと思われてしまいます。それがこのように社債として表示され、返済期間や利息などをきちんと約定通りに実施していくと、金融機関などからの評価が向上します。
50万円の節税
  また税金面ですが、貸付利息は総合課税されるのに対して社債利息は税率20%の源泉分離課税となっているので、高収入の社長の場合節税となります。例をあげると、社長年収3,000万円の場合で、上記社長借入金5,000万円に対して5%の貸付利息250万円を受け取った場合には、250万円×税率40%(社長年収3,000万円の場合の概算実効税率)=100万円の税金が社長個人にかかります。これに対して社長借入金を社債(少人数私募債)に振り替えた場合には、社債利息250万円×税率20%(源泉分離課税)=50万円となり、このケースの場合100万円−50万円=50万円の節税となります。他にも少人数私募債発行のメリットがありますので以下にまとめておきます。

(少人数私募債発行のメリット)
1.金融機関などからの評価向上
2.社債利息の計上による節税効果
3.法人個人間の取引明確化
4.担保及び保証人不要
5.取締役会決議のみで発行可能
少人数私募債発行のチェック項目
  最後に私募債発行条件ですが、社債募集総額が過去2年を含めて1億円未満であること及び過去半年含めて社債購入者が50名未満でありその引受人が知人・友人などに限定されていることといったものがあります。そしてこういった条件を満たすと、官公庁への届出等が不要となり、取締役会決議のみで簡単に社債(少人数私募債)が発行できることとなります。それらをまとめたのが、以下の少人数私募債発行のチェック項目です。

(少人数私募債発行のチェック項目)
・募集総額が過去2年を含め1億円未満であること
・過去半年含めて社債購入者が50名未満であること
・社債引受人が知人、友人、取引先等に限定されていること(金融機関等はダメ)
・社債発行総数が50口未満であること
・取締役会決議が行われていること
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まとめ お金に関するパートナーになれると…
  私が見てきた中で上手に法人保険営業をされている方というのは、単に生命保険や損害保険のことだけでなく、広く「中小企業におけるお金に関するパートナー」になっている方です。そういった意味でも、今大きく変わりつつある中小企業の資金調達手段は、ウォッチしていく必要があるのではないでしょうか。その中でも比較的簡単に取り組める今回のテーマである「少人数私募債」というのは、ぜひ周りの中小企業経営者の方々に伝えてあげるべき内容であると思いますよ。
  今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことが出来れば、幸いです。
2006.12.11
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁