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経営者個人に影響する税制改正事項
  昨日、平成19年度税制改正要綱が閣議決定されました。税制改正の今後の流れとしては、現在開催中の国会で審議され3月頃に最終決定となる見込みです。そこで今回は、その税制改正の中でも特に「経営者個人に影響のある部分」を解説したいと思います。
家を購入された経営者の方へ
  昨年(平成18年中)に家を購入された方については、確定申告を通じて「住宅ローン減税」の適用を通常受けることができます。この住宅ローン減税というのは、おおまかには物件購入価額と借入金額のうち低い方の価額(借入上限3,000万円)に対して、1%の税額控除が受けられるという制度で、減税期間は10年間です。
  例えば、6,000万円でマンションを購入して借入金が5,000万円ですよ、という場合の減税額は、

6,000万円>5,000万円>3,000万円(上限)
∴3,000万円×1%=30万円(住宅ローン減税額)

となります。

  確定申告をすると30万円の減税(1年目)ですから、効果は大きいですよね(10年間の合計最大税額控除額は255万円)。ちなみに住宅ローン減税の適用は、1年目には確定申告が必要ですが、翌年以後は年末調整で適用可能です。
  また、家を買ったのは3年前、4年前でそのときは所得制限などで対象外とされた、という方も、今年の確定申告で要件を満たしているのであれば、今年から住宅ローン減税を受けることができます。
  さらに、今後(今年または来年)家を買おうとお考えの場合、今年、平成19年から「住宅ローン減税制度」が選択制に変わる予定ですのでご注意ください(これは、新しい住宅ローン減税制度ができて、旧来の住宅ローン減税制度とどちらか有利なほうを納税者が選ぶといった形式になる予定です)。また今年、平成19年4月1日からは、家のバリアフリー工事も住宅ローン減税の対象となるようです。手すりの設置などのバリアフリー工事を予定されている方は、少し待たれるといいかもしれませんね。
家を売却された方へ
  今度は、平成18年中に家を売却された方で、売却損が発生している場合です。こういった場合には、確定申告を通じてその売却損を給与収入と相殺して「税金を戻してもらう」ことができます。さらには、その売却損が大きい場合は、翌年以後3年間繰り越して合計4年間「税金を戻してもらう」ことができる場合があります。
  また、この特例は、今年、平成19年に家を売却予定の方でも対象となるもようです(平成19年税制改正大綱より)。
海外の生命保険に加入されている方へ
  平成19年度税制改正大綱によると、海外の保険会社からの死亡保険金の課税の扱いは、これまでの所得税から相続税となるようです。
  今まで所得税の課税対象であったということは、一時所得扱いでしたので、結局本来の税率の半分で済んでいました。所得の高い資産家の方々にとっては、海外の生命保険というのは節税に使える場合があったのですが、今後は難しくなりそうということです。
国民健康保険に加入している方へ
  同じく大綱によると、現行53万円である国民健康保険の上限金額が、3万円アップして56万円になるようです。ただし、国民健康保険料というのは、お住まいの市区町村によってその正確な金額は異なりますので、上記はあくまで全国一律の上限金額とお考えください。
上場株式をお持ちの方へ
  上場株式などの配当に対する税率は原則20%ですが、現在は特例で10%です。この適用期限は平成20年3月31日までだったのですが、1年伸びて平成21年3月31日までとなる予定です。
  同じく、上場株式などの譲渡益に対する税率は原則20%ですが、現在は特例で10%です。そしてこの適用期限は平成19年12月31日までだったのですが、これも1年伸びて、平成20年12月31日までとなる予定です。
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まとめ 「経営者個人にとって」という切り口で興味をひく
  単純に「税制改正の内容についてのご案内です」といっても、経営者のもとには他にも様々なところからの案内も届いていることでしょうから、経営者の胸にそれほど響かない場合があります。
  そんなときは、この記事にあるように「経営者個人に影響のあることなんですよ」とお声掛けをするといいでしょう。実際、「経営者個人にとって」という切り口は、当然ではありますがとても興味を示されることが多いです。
  今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことが出来れば、幸いです。
2007.2.13
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁