> 税理士から見た生命保険販売のツボ > 決算3カ月前にやるべきこと(6-3-3で12個の決算対策)
税理士が見る生命保険販売のツボ
相談のケースはこちらから まとめの紹介はこちらから
決算3カ月前にやるべきこと(6-3-3で12個の決算対策)
  前回お伝えした「6-3-3で12個の決算対策」のうち、今回は「決算3カ月前にやるべき3項目」についてお伝えします。
決算利益予測・法人税等予測
  例えば、事業年度が4月1日〜3月31日の1年決算法人では、決算3カ月前の段階では、おおまかには4月1日〜12月31日までの9カ月累計の試算表が作成されていることと思います。つまり過去9カ月の利益が実績として確定している…、はずです。「はず」と私が書いたのは、経験上多くの中小企業ではできていないからです。つまり、決算3カ月前の段階で、一体いくら儲かっているのかが分からないのです。特に、税法ベースでいくら儲かっているのかは、後に法人税などを予測する上でも重要です。
  例えば、減価償却費。1年分の減価償却費を12カ月で割って毎月概算計上していますか? 毎月減価償却費が概算計上されていない過去9カ月累計の試算表では、本当の実績(この場合は後に税金予測などをする観点から税法ベース)を表しているとはいえません。また、他にも消費税は税抜経理をされていますか?(免税事業者や簡易課税制度を選択している会社を除く)さらには、売上の計上基準を発生主義会計にされていますか? 月次試算表ベースでも、入金されたときに売上を認識する現金主義会計ではなく、発生したときに売上を認識する発生主義会計にするべきです。つまり、「毎月の試算表を12カ月足してそれが最終決算書とほぼイコールになる」のが「良い月次試算表」といえます。
  ご自身の会社では、減価償却費などの期中概算計上、消費税税抜経理、発生主義会計ができていますか? 逆にいうと、これらができていない過去9カ月間累計の試算表では、法人税等予測(納税予測)はかなり困難となります。
来期事業計画の策定
  次に、「来期事業計画の策定」というのがあります。この時期から来期の事業計画を策定する理由は、経営戦略的に重要なためだけではありません。税制改正によって役員報酬の金額を期中に変更することが原則不可能になったことにより、決算後3カ月以内に役員報酬の支給額を決定することがとても重要になりました。しかしその役員報酬をいくらにすればいいのかの根拠付けは、事業計画を中心に考えるほかありません。ここに新しい決算対策として「来期事業計画の策定」の重要性が増している理由があります。
  他にも決算3カ月前に事業計画の策定が重要な理由は、今期の節税対策にも有効に機能する場合があるからです。来期の事業計画で人や物への投資を予定している場合、状況によってはそれを少し早めることによって、節税が可能になるかもしれません。
  ぜひ決算3カ月前に、社長の頭の中にある来期の予定を、顧問の税理士事務所や自社の経理担当者に話してくださいね。
銀行の融資姿勢の変化
  以前でしたら、銀行からお金を借りようとする場合、担当者や支店長の裁量が多分にあったように思います。であるからこそ経営者は、支店長とゴルフに行ったり、担当者と飲食をともにしたりしてきました。それが数年前から、銀行の融資姿勢が大きく変化し、支店長や担当者の裁量部分が大きくカットされ、企業の決算書を点数化することによる「格付融資」が主流となっています。これは都市銀行に限らず、地方銀行や信用金庫まですべての金融機関で起こっていることです。経営者として今「銀行との付き合い方」で大事なのは、ゴルフや飲み食いではなくて(お付合いは大事ですが)、ずばり「決算書の良し悪し」です。
  しかし決算書が大事とはいえ、決算書のような定量的評価だけで格付(銀行からみた融資先企業のランク付け)が決まるわけではありません。おおまかには、格付審査の7〜8割部分が定量的評価(つまり決算書による評価)で、残り2〜3割部分が定性的評価といわれています。
  この銀行格付対策というのが、決算3カ月前にやるべき3つ目の項目となります。
  ページトップへ
まとめ 格付アップ3つの方法
  銀行融資においてとても重要な格付ですが、それではどうやって格付アップを狙っていけばいいのでしょうか。そこで、格付アップの方法を3つご紹介いたします。
1.DESをすれば格付アップ
DESとは、デット・エクイティ・スワップの略で、ここでは「社長借入金を現物出資することによって資本金に振り替えること」を指しています。結果、自己資本比率が向上します。ただし、資本金が増加することによるデメリット(費用面や税制面)も考慮して実行してください。
2.決算書をお化粧しで格付アップ
最終利益が変わらずとも営業利益が大きいと格付が上がる可能性があります。そのためには、損益計算書上、「収入はなるべく上に、費用はなるべく下に」というのを心がけるといいでしょう。
3.定期預金を解約後、借入金と相殺して格付アップ
総資産が圧縮され自己資本比率が向上するので、格付が上がる可能性があります。
  今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことが出来れば、幸いです。
2007.4.5
  ページトップへ
税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁