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前回に引き続き「6-3-3で12個の決算対策」のうち、今回は「決算1カ月前にするべき3項目」についてお伝えします。
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決算1カ月前にするべき3項目は以下になります。
1. 今期・来期社長報酬一部損金不算入対策
2. 来期消費税計算方法の選択
3. 来期管理会計の導入準備
最初の項目は当期・来期決算にかかわるもので、残り2項目については来期決算を見据えてのするべき項目となります。それでは1項目ずつ確認していきたいと思います。
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これは正式には、「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与損金不算入制度」といわれるものです。内容は、社長などの一族(業務主宰役員グループ、ここでは業務主宰役員は社長と仮定)が「90%以上の株式を所有」し、かつ「常務従事役員の過半数を占める」場合(こういった会社を特殊支配同族会社という)に、その業務を主宰する役員給与の「給与所得控除相当額」が損金にならないというものです。
具体的には、年収600万円の場合174万円、年収1,200万円で230万円の給与所得控除額が、会社決算申告上、損金不算入になります。税率を40%として単純計算すると、年収600万円の場合で年間約70万円の増税、年収1,200万円の場合で年間約90万円の増税となります。影響は大きいです。
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この増税規定である社長報酬一部損金不算入ですが、その回避策は4つあります。
1.株主構成を変える
10%超の株式を社長一族以外の株主に持ってもらうと対象外となるのですが、形式的なものは租税回避とみなされる恐れがありますので注意が必要です。また安易な株の移転も経営上好ましくないです。
2.社長以外に多く給料を支払う
当然、実態にそぐわない給料の支給は税務上認められません。
3.社長の給料を一定以内に抑える(平成19年度税制改正を踏まえて)
「社長報酬一部損金不算入制度」については、適用除外規定があります。それは、社長の給料と法人所得の合計額の直前3年平均額が、
1)1,600万円以下の場合
2)1,600万円超3,000万円以下で社長の給料が合計額の50%以下の場合
です。
4.役員構成を変える ← 1番お勧め!
常務従事役員の半数以上が社長一族以外にすると、今回の規制の対象外となります(判定は事業年度末)。役員2人の場合、1人が一族以外であればOK。前向きな従業員の役員登用が、節税につながるということです。
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決算1カ月前にするべき2つ目の項目は、「来期の消費税計算方法の選択」です。
原則2年前の売上高が5,000万円以下の会社は、消費税の計算方法として、原則課税方式以外に簡易課税方式というものを選べます。原則課税とは、売り上げたときに預った消費税から費用などを支払ったときに、その支払った消費税を差し引いた残りを納税額とする方法です。簡易課税方式とは、売上高とその会社の業種区分から消費税の納税額を計算する方法です。
どちらが有利になるかは計算してみないと分からないのですが、大事なのは、その選択は原則事業年度開始の前にしないといけないことになっている点です。つまり、2年前の売上高が5,000万円以下の会社は、当期中に来期の消費税についてシミュレートをした上で、来期の消費税計算方法を選択しないといけませんので覚えておいてくださいね。特に設立したての会社などは注意が必要です。
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さて、決算1カ月前にするべき最後の項目は、「来期管理会計の導入準備」となります。
これは具体的には、「発生主義会計、部門別会計、科目変更等」となります。よくあるのが、決算2カ月後の申告時に、今期の会計について、「部門別会計を導入したい」や「売上などの科目変更をしたい」などの要望がでてくることです。
しかし申告時にこういったいわゆる「管理会計の導入」の話があっても、すでに当期の会計が開始してしまっていますので、実際導入できるのはさらに来期ということになってしまう場合が多いです。
そういったことにならないためにも、決算1カ月前に、来期の会計をどういった形にしていくのかを決めておくことをお勧めします。
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通常決算1カ月前というと、経営者としては当期の決算対策のことで頭が一杯になっていることが多いです。そんなときに、角度を変えて「来期に向けて今するべきこと」を経営者にアドバイスしてあげると喜ばれるのではないでしょうか。
次回は、決算時・後にするべき3項目についてお伝えします。
今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことができれば、幸いです。
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2007.6.11 |
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[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
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[保有資格]
税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
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