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税理士が見る生命保険販売のツボ
事業承継税制は本当に使えるか?
  多くの中小企業経営者が自宅を所有されていると思いますが、その自宅の購入時期によっては含み損を抱えているといったケースもあるでしょう。実はこういった自宅の含み損について一定の要件を満たした場合、会社から受け取る役員報酬などと損益通算することができます。損益通算できると、役員報酬にかかっていた税金が還付されることになります。さらには、その損失が大きい場合には、翌年以後3年間その損失を繰り越すこともできます。
  経営者によっては、結構高額な自宅をもたれていて、それがバブル期に購入されたものなどである場合にはかなりの含み損を抱えているといったケースもあります。そういった場合でその経営者の方が自宅を手放してもいいとお考えであれば、以下2つの特例措置を伝えてあげることは、大変喜ばれることでしょう。
特定居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  損失が発生する所有期間5年超の自宅を売却(親族等に対するものを除く)して、床面積50u以上の自宅を住宅ローン付きで購入した場合、その売却損について給与収入などと損益通算が可能となっています。またその売却損は、翌年以後3年間にわたって繰り越す(合計所得金額が3,000万円以下の年に限る)ことができます。この制度を、「特定居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」といいます。
  またこの制度は、新たに買い換えた自宅について、住宅ローン控除との併用もOKとなっています。
  その他制度の概要や他の要件などは、図1をご参照ください。
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  こちらの制度は、先ほどの制度と違い新たに自宅を買い替える必要がありません。つまり、自宅(所有期間5年超)を売却(親族等に対するものを除く)してその後は賃貸暮らしでもかまわないということです。ただしこの場合、その自宅の住宅ローンが売却価額以上に残っている必要があります。ということは、その自宅は債務超過の状態であり、実際の売却時にはローン返済不足分を自己資金などで補充していることになります。自己資金をプラスしないと売却できない自宅について税制上手当てしてあげようというのが、この制度の趣旨でもあります。
  その他制度の概要や他の要件などは、図2をご参照ください。
  今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことができれば、幸いです。
図1:特定居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
2007.11.12
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁