中小企業経営者に大きく影響があると予想される税制改正項目のうち、特に以下の4つについて解説をしていきます。
1.情報基盤強化税制の延長および拡充
現行の情報基盤強化税制では、資本金1億円以下の青色申告法人の場合、一定の情報セキュリティーが確保されたOSやサーバーPCなどが減税の対象となるのですが、その投資金額のバーが年間300万円以上となっています。それが今回の改正では、70万円に引き下げた上で、期限を平成22年3月末まで延長することとしています。
また、対象資産に「部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェア」を追加して、SaaS・ASP事業者が適用対象となることを明確化しました。
ただし、資本金10億円超の企業については上限を200億円と設定することとしました。
2.減価償却制度における耐用年数の整備
機械装置の耐用年数を大幅に見直すこととしています。現行では、機械装置については390区分に分けられた上でそれぞれ法定耐用年数が定められていますが、実務上その区分けの判断が非常に困難となっているため、これを55区分に簡素化することとしています。
ちなみに、資本金1億円以下の中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合にその全額が費用処理できる、いわゆる「少額減価償却資産の特例」の適用期限が、2年間延長される予定です。
3.人材投資促進税制の拡充
人材投資促進税制については、中小企業を対象に大幅拡充することとしています。現行では、当期の教育訓練費の金額が過去2期平均より上回っていなければ税額控除の対象となりませんが、改正ではこの増加要件を撤廃した上で、当期の教育訓練費が一定金額を超えれば適用を受けられることとしています。
その一定の金額とは、労働費用に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合としています。例えば、労働費用450万円とするとその0.15%は6,750円となるため、このケースの場合は年間6,750円以上の教育訓練費を支出すれば、税額控除の対象になるということです。
4.中小企業事業承継税制の抜本拡充
中小企業に対する事業承継税制が、平成21年度税制改正において大きく変更されることが明記されました。現行では、非上場株式等に対する優遇措置は小規模宅地等の80%評価減と異なり10%評価減とされていますが、これを5年間の事業継続など一定の要件を課した上で、その非上場株式評価額の80%(ただし発行済株式総数の2/3まで)に対応する相続税を納税猶予する制度に拡充することとしています。
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