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税理士が見る生命保険販売のツボ
第37回個人にとっての平成20年度税制改正
  中小企業において、銀行というステークホルダーは、成長している黒字企業であろうが下降気味の赤字企業であろうが重要な位置付けでしょう。しかし、中小企業経営者というのは銀行や銀行マンがどういう視点で自社を見ているのかということは意外と知らないことが多いです。実際、融資申し込みなどの銀行交渉時に、銀行マンの立場を知らないがために、自社にとって不利になるような状況を自らつくってしまっている経営者の方も多いです。
  そこで、今回の記事では、銀行や銀行マンの考え方や立場、重要視していることを中心に解説を加えたいと思います。
銀行マンを知る
  銀行マンというのは、一般的なイメージどおりどちらかというとお堅い方(?)が多いように思います。そのためこちらも、「資料の提出日を守る」、「数字を根拠に話す」、「信頼関係を大事にする」などが必要になってきます。経営者というのは、技術畑や営業畑の人が多いのでときにルーズな方も見受けられますが、それでは銀行マンにとっては悪い印象を与えていることになります。
  また、銀行マンというのは、実はかなり忙しいです。ですから銀行交渉などをするときは、なるべく担当者などが時間に余裕のある時期を選んだほうがいいです。参考までに、銀行マンの忙しい時期として具体的には、
・銀行決算時期・・・3月下旬〜4月上旬、9月下旬〜10月上旬
・顧客企業の信用格付時期(3月決算を想定)・・・6〜7月
・融資課の繁忙時期・・・毎月末
などがあります(これらは銀行によって異なることもあるでしょうからあくまで参考程度とお考えください)。
  また、日々において15時以後というのは銀行マンにとって手があくことが多いようですので、銀行交渉をするには狙い目かもしれません。
銀行が融資する際のポイントは3つ
  次に、銀行が融資する際何をポイントとしているのかお伝えします。この融資ポイントというのは、経営者の方は知っているようで意外と知らないことが多いです。
  銀行が融資する際のポイントをまとめると、
1.返せるの?(返済能力)
  →資金繰り表や経営計画書の提出が有効
2.何に使うの?(資金使途)
  →設備資金の場合、見積書などの提出が有効
3.担保や保証人は?
  →不動産は通常70〜80%しか評価されません
となります。
  よくベンチャー経営者が最初に陥る罠として、銀行マンに自らの夢を赤裸々に語ってしまうというのがあります。これはどういうことかというと、初対面の銀行マンの前でこんなことを経営者が語ってしまう場合です。
「実績として今は月200万円の売上だけれども、来年には店舗を最低3つは出すので売上は4倍になります。だから間違いなく返せるので1,000万円貸してほしい」
  銀行マンにとって、融資先の企業の売上が4倍になることに実はそれほど興味はありません。極端な話、銀行マンにとっては、単純に、貸したお金が金利を含めてちゃんと約定どおり返済されるかどうかしか興味がないのです。銀行には「銀行のビジネスモデル」というのがあるのです。この事実はとても大事なことです。ぜひ経営者の方には知っておいていただきたいこととなります。
  また、銀行マンというのは、初対面の方を警戒します。ですから、先ほどのようなことをベンチャー経営者から聞いたとしても、返す言葉は、「前職は何をされていましたか?」や「今まで金融機関からお金を借りたことがありますか?」となります。要は、まず信頼できる人物かどうかを確認しているのです。ですから、特に銀行からお金を借りることが初めての経営者の方は、まずは銀行マンに当たり前に自分や会社のことを信頼してもらうことが先となります。そしてその次に、現在の実績や今後の見通しをどちらかというと謙虚にお話されるのがベターであると思います。
  さらに経営者の方にとって認識不足のことが多い項目として、上記銀行が融資する際のポイントの2番目にある「資金使途」です。経営者の方からすると、ちゃんと返せる根拠さえ示せれば銀行はお金を貸すと思っている場合があるのですが、銀行マンからするとそんなことはないのです。例えば、迂回融資などを銀行は嫌いますし、また貸してはいけない業種や内容というのも銀行によってあるようです。つまり、「資金使途」というのは、「返済能力」と並んで銀行は重要視します。
  それであるなら、銀行交渉を自社にとって有利に運ぶためにも、銀行が安心する材料として、資金使途がわかる資料を色々と提示してあげるといいですね。
  中小企業にとってお金の問題というのは、常に最重要課題でしょう。そこで、中小企業経営者のブレーンである皆さんが、銀行や銀行マンの立場及び重要視している項目などをクライアントである経営者の方などに伝えてあげて、より銀行交渉が有利になるようアドバイスしてあげることは喜ばれることとなるでしょう。
  今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことができれば、幸いです。
2008.04.07
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁