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税理士が見る生命保険販売のツボ
第40回セーフティネット保証
責任共有制度がスタート
  2007年10月から、信用保証協会の保証付き融資制度が全国的に変わりました。今までは信用保証協会の保証がなされていれば、その融資については、たとえその融資を受けた企業が倒産などで回収できなくなったとしても、原則その責任(焦げ付き負担)は銀行にはなく保証協会(つまり国)が全額かぶることになっていました。
  それに対して、2007年10月より「責任共有制度」というものが導入されました。この責任共有制度では、今まで保証協会が100%保証していたものを、保証協会80%、金融機関20%の保証としました。つまり、融資に対するその責任を保証協会と金融機関で共有しようというものです。この制度が導入された背景には、保証協会付き融資の焦げ付きが増加して国庫負担が限界となってきたことがあるようです。
中小企業に与える影響は大きい
  そしてこの責任共有制度の導入は、皆さんのクライアント先である中小企業の資金調達において大きな影響を及ぼしています。
  銀行にとっては、この制度の導入によって、新規融資において慎重にならざるを得なくなりました。現在では、もし融資先企業が倒産などになった場合には、20%部分について金融機関自身が負担をしないといけないからです。そのため、必然的に貸し渋りに近い状態となっているケースもあるようです。
  今多くの中小企業は、物価高などで経営環境が圧迫されていますが、さらに資金調達までが思うようにいかないという状況になっていますので、苦労されているのが現状です。
セーフティネット保証制度はオススメ
  そこで、中小企業をクライアント先にもつ皆さんが、今使える有効な「融資制度」のご提案をしてあげることをおすすめします。
  今、ぜひ中小企業経営者に伝えてあげてほしい融資制度は、「セーフティネット保証制度」です。セーフティネット保証制度とは、取引先等の再生手続等の申請や事業活動の制限、災害、取引金融機関の破綻等により経営の安定に支障を生じている中小企業について、保証限度額の別枠化等を行う制度です。「経営の安定に支障を生じている」という部分については、後にみていくいくつかの要件があるのですが、この制度のポイントは、通常の信用保証協会で融資を受けられる枠とは別枠で融資を受けられるというところです。つまり、銀行に融資を申し込んでも、「御社の場合は、保証協会の枠がいっぱいなので難しいです」といわれていた中小企業が、融資を受けられる可能性があるのです。
  ただし、おおむね1%程度の保証料率がかかるのと、事業所の所在地を管轄する市町村長または特別区長の認定を受ける必要があります(通常この認定手続きは金融機関経由で行われます)。
こんな中小企業が対象です
  この制度の対象となる中小企業は、中小企業信用保険法第2条第4項1号から8号に掲載されています。今回はその中でも特に対象となりやすい1号と5号と7号をご紹介します(1号と5号については責任共有制度の対象外となっていますので、保証協会の100%保証となります)。

1号 連鎖倒産防止
5号 業況の悪化している業種(全国的)
7号 金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整

  まず、1号の「連鎖倒産防止」ですが、これは、「民事再生手続開始の申立等を行った大型倒産事業者に対し売掛金債権等を有していることにより資金繰りに支障が生じている中小企業者を支援するための措置」となっています。具体的には、「当該事業者に対して50万円以上売掛金債権等を有している中小企業者など」となっています。また、民事再生手続開始の申立等を行った大型倒産事業者については、1号指定事業者リストとして一覧が中小企業庁のHPに掲載されていますので、文末のアドレスをご参照下さい。
  次に、5号の「業況の悪化している業種(全国的)」ですが、この対象となる中小企業者は、「指定業種に属する事業を行っており、最近3カ月間の平均売上高等が前年同期比マイナス5%以上の中小企業者」、または、「指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者」となっています。ここで指定業種とは、その一覧が中小企業庁のHPに掲載されていますので、文末のアドレスをご参照下さい。
  最後に、7号の「金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整」ですが、これは、「金融機関の支店の削減等による経営の相当程度の合理化により借入れが減少している中小企業者を支援するための措置」となっています。対象となる中小企業者は、「経営の相当程度の合理化を実施している金融機関に対する取引依存度が10%以上で、当該金融機関からの直近の借入残高が前年同期比マイナス10%以上で、金融機関からの直近の総借入残高が前年同期比で減少している中小企業者」です。ここで、経営の合理化を実施している金融機関とは、その一覧が中小企業庁のHPに掲載されていますので、これについても文末のアドレスをご参照下さい。
  今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことができれば、幸いです。

(中小企業庁のHP)
http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm
2008.05.26
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁