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税理士が見る生命保険販売のツボ
「手形取引に対する注意喚起の重要性」
  保険営業マンの皆さんにとって、クライアント先である中小企業とは共存共栄ではないでしょうか。クライアント先の繁栄が自社の繁栄につながることも多いでしょう。そこで、クライアント先の倒産を回避するための注意喚起は重要です。中小企業の最大の倒産原因は、手形の不渡りです。
手形を発行すると経営者の数字感覚が狂う
  資金回収に時間がかかる「建設業」や「印刷業」、「製造業」などでは、商慣行として手形取引が根付いている場合があります。しかしそういった業界でも、最近では若い経営者を中心に手形取引を解消していこうと働きかけているようです。
  手形を発行すると、手元にお金がなくても代金の支払いができてしまいます。そしてそれが積み重なると、経営者の数字感覚がおかしくなります。具体的には、会社の実力を実態以上に過信してしまうのです。
  会社が倒産してしまう最大の原因は、手形を期日に支払えない「手形の不渡り」です。6カ月以内に2度不渡り手形を出すと2年間銀行取引停止となり、実質的に倒産です。
  しかし、手形を振り出していなければ、急な事情で一時的に支払いができなくなっても取引先や関係者に待ってもらうことも可能でしょう。
手形は受け取るのも避けるべし
  手形は発行するだけではなく、受け取るのもやめましょう。
  最初が肝心ですから、「社長の方針で…」や「多少の値引きには応じますので…」、「半額だけでも現金で…」など色々な手段で断ってください。
  とはいえ、業界によっては仕方ないというときもあるでしょう。そんなときでも、 「額面金額が大きな手形は分割してもらう」や「サイトを短くしてもらう」などの工夫をしましょう。手形を少額に分割してもらうと、必要な分だけ割り引けるなど臨機応変に対応できますし、割引料の削減にもつながります。
手形を受け取るときはここに注意!
  また、やむを得ず「手形を受け取る」ときには、最低以下の5つのポイントについてチェックしてから受け取るようにしてください(手形詐欺は今も昔も横行していますよ!)。
1.手形に、「有害的記載事項」がないか?
  有害的記載事項のある手形は手形自体が無効になります。
  例)「売買の目的物の到着と引き換えに支払う」などと記載されている手形
2.裏書は連続しているか?
  裏書が不連続な手形は支払ってもらえない可能性があります。
3.サイトが長くないか?
  現金になるまでの期間が長い手形は、不渡りになる可能性が高まります。
4.廻り手形ではないか?
  売掛代金の回収に他の会社が振り出した手形を裏書して渡してくることがありますが、これを廻り手形といいます。廻り手形の場合、手形を発行した会社の調査が必要です。また銀行で割り引いてみるとその信用度合いがわかることがあります。
5.融通手形ではないか?
  融通手形とは、資金繰りに窮した会社同士などで手形を振り出し合い、その手形を金融機関で割り引いて資金化するというものです。これは架空の手形であり連鎖倒産となる可能性が高いですから、絶対に断りましょう。
2008.07.28
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁