そこでその対策として、(1)役員報酬を減額してその分借入金返済を実行する、(2)繰越欠損金のある会社では役員から債務免除してもらう、(3)DES(役員借入金の現物出資)を実行する、となります。
長期的なスパンで役員借入金を減少させていく手法としては、役員報酬を減額して、その不足分を役員借入金の返済としてその役員に支給していきます。すると、役員報酬を減額した分、所得税及び住民税、さらには社会保険料までもが減少しますので、お得です。ただし、役員借入金の返済は経費ではありませんので、役員報酬を減額した分だけ会社には利益が計上されることになりますので注意が必要です。
一気に役員借入金を減少させる方法としては、その役員が債権放棄をする、つまり会社からみると債務免除をしてもらいます。会社には、その分、「債務免除益」という特別利益が計上されますが、繰越欠損金などがあれば相殺され、課税を免れることもできます(ただし資本金1億円超の同族会社の場合は留保金課税がかかることがあります)。
また、DESを実施して、役員借入金(役員側から見ると貸付金)を株式という財産に変身することも可能です(税制改正によりDESによる金銭債権の現物出資にあっては、資本金の額はその金銭債権の時価となりました)。株式であると会社の価値を反映した株価が相続財産となりますので、相続税の節税対策となることがあります。
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