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税理士が見る生命保険販売のツボ
「中小企業経営者にとっての確定申告のツボ!」
  いよいよ、2月16日から本格的に確定申告が開始となりました。
  皆さんのクライアント先である中小企業経営者においても、確定申告や税金の相談が増えているのではないでしょうか。
  そこで、「中小企業経営者にとっての確定申告のツボ!」と題して、今年の確定申告において税負担軽減となる「扶養控除の賢い活用の仕方」をお伝えします。
扶養控除はデカイ
  実は、扶養控除というのは、他の控除項目に比べて控除額が大きく税負担軽減効果の高いものとなっています。扶養控除に該当する人が1人いれば、最低38万円の控除(所得税において、以下同様)です。ちなみに、医療費の領収書を年間20万円ためても医療費控除額は通常10万円、生命保険関係も皆さんご存じのように最高で5万円(年金を合わせても10万円)です。扶養控除がいかに大きい控除項目かおわかりいただけるかと思います。
別居していても扶養親族?
  通常、私たちが扶養控除の適用を受けるのは、「同一生計」の配偶者以外の親族(民法でいう6親等内の血族及び3親等内の姻族)で、その年分の所得が38万円以下の人のことです(個人事業者の専従者は除く)。
  ここで大事なこととして、「同一生計」というのは必ずしも同居していなくても構わないのです。勤務などの都合でたとえ別居していても、休みには帰ってきて、生活費や学資等の送金が行われている場合も扶養控除の対象に含まれるのです。例えば、妻の祖父母に仕送りをしているような場合、その方たちも扶養親族にできます。
  そして、このような同一生計者間では、誰の扶養親族にもなれるのですよ。もちろん、重複して複数の人の扶養親族になることはできませんが。
共働き夫婦のケースは?
  また一方、共働きで子どもがいる場合、なんの疑問も持たずに、子どもを全員夫の扶養に入れてしまっていないでしょうか。
  しかし、それでは損をしている可能性があります。
  子どもを夫婦どちらの扶養に入れるのかは、分散しても全く問題ありません。所得にかかる税金は超過累進税率(以下図参照)になっていて、収入が多くなると税率が高くなるようになっています。そのため、夫婦共働きの場合は、なるべく夫婦の所得が均等になるようにするのが税負担軽減のポイントです。子ども1人の場合は、単純に、収入の多いほうの扶養に入れておいたほうがいいでしょう。子ども2人の場合で夫婦の収入がほぼ同じ場合は、子どもを分散して扶養すると税負担軽減になることがあります。
  また子どもの扶養を夫・妻のどちらに入れるのかは、年によって異なっても問題ありません。昨年と今年が同じである必要はないのです。
誰が控除を受けるの?
  また例えば、親子3代の家族で、父・本人・娘にそれぞれ所得がある場合、所得38万円以下の家族は、3人のうちの誰の扶養親族になってもよいのです。
  とすると、所得が高いほど所得税の税率が高くなる超過累進税率の下では、扶養控除は最も高額の所得者から控除するのが効果的ということになります。
  こんなこともクライアント先の経営者にお伝えしてあげると、喜ばれるかもしれませんね。


(国税庁のHPより抜粋   http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm)
所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円
(注)  例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
  700万円×0.23−63万6千円=97万4千円
2009.02.16
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁