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税理士が見る生命保険販売のツボ
「平成21年税制改正決定! 税金還付と税率下げ」
  政治ドラマはここ数カ月さまざまな展開を見せてきましたが、結局平成21年度税制改正が与党の原案通り決定いたしました。今回は、経済環境の急速な悪化を受けて、税制においても、緊急避難的な減税措置が相次ぎました。通常であれば、税制改正が決定しても、その影響は1年ほど先ということが大半だったのですが、今回はすぐに影響が出るものがあります。3月決算の会社は多数あると思いますが、皆さんのクライアントの中小企業経営者や経理担当者に、ぜひこの改正内容を伝えてあげてください。
税金が戻ります!
  1年前の前期決算では黒字であったけれども、この1年における金融危機などで今期の決算は大赤字という会社は多いと思います。この場合、今までの制度では、今年の赤字について来期以後7年間繰り越すことはできますが、前期の黒字については原則払いっぱなしで救済されませんでした。来期以後利益が出ればそのとき損益通算できるのでいいのですが、来期以後の見通しが立ちにくいのが現状です。また、現状のキャッシュフローを改善されるのを希望される会社も多いと思います。
  そこで、平成21年度税制改正において、今まで設立5年以内の会社など特殊な場合しか認められていなかった「欠損金の繰戻し還付制度」が、中小法人等に限って全面解禁されることになりました。
  具体的には、「下記に掲げる中小法人等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額について、欠損金の繰戻し還付制度の適用ができる」こととなりました。つまり、平成21年2月以後の決算の会社(もちろん3月決算の会社も)が対象になるということです。適用忘れのないようにしましょう。

注)  中小法人等とは次の法人となります。
    (1)  普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億 円以下であるものまたは資本もしくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社等を除く)
    (2)  公益法人
    (3)  協同組合
    (4)  人格のない社団等

  ただし、注意点があります。この欠損金の繰戻し還付制度は法人事業税には適用がなく、法人住民税については、翌期以降納付すべき法人税割から控除されることになります。お間違いのないようにしてください。
税率が下がります!
  3月決算の会社では来期以後の適用となりますが、「中小法人等の平成21年4月1日から平成23年3月31日までに終了する各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率を22%から18%に引き下げる」こととなりました。
  つまり、4月決算の会社から、法人税の軽減税率が4%下がります。減税額を計算すると、中小法人等で年間800万円の所得があるとして、法人税で800万円×(22%−18%)=32万円となります。さらには、法人税を基礎に計算する法人住民税の税率がおおむね17.3%ですから、32万円×17.3%=55,360円、法人住民税も減税となります。減税額を合計すると、32万円+55,360円=375,360円となります。こちらも決算時において適用忘れのないようにしましょう。

  冒頭の欠損金の繰戻し還付制度は、新聞報道によると、その適用範囲を大企業にも広げようという動きもあります。今後さらに追加経済対策が発表されると思われますが、そういった情報を早くつかんで各クライアント先に合わせた形で情報提供してあげると、喜ばれるのではないでしょうか。
2009.04.06
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁