> 税理士から見た生命保険販売のツボ > 「民主党政権誕生で中小企業税制はこう変わる!」
税理士が見る生命保険販売のツボ
「「民主党政権誕生で中小企業税制はこう変わる!」
  皆さまご存じのとおり、自民党を中心とした政権から民主党を中心とした政権へ移行されました。これに合わせて、中小企業をとりまく税制も大きく変わりそうです。
  そこで今回は、「民主党政権誕生で中小企業税制はこう変わる!」と題してお送りします。皆さまのクライアントの中小企業においても、関心が高いテーマかと思いますので、ぜひこの内容を教えてあげてください。
  (注)現時点では、以下の内容について決定事項ではありません。民主党の「マニフェスト2009」
および「政策INDEX 2009」に基づいて書いています。
税率下げと主宰者税制の廃止
  民主党の中小企業税制の目玉の1つは、「税率下げ」です。具体的には、年間所得800万円以下の部分に適用される、中小企業に係る法人税の軽減税率を、現行の22%(先の税制改正で2年間18%)から当分の間11%に半減する、となっています。
  また、もう1つの目玉施策は、主宰者税制の廃止です。主宰者税制とは、平成18年にできたもので、主に社長(厳密には業務主宰役員)の給料の一部が経費にならないという増税規定を指します。そしてこの主宰者税制を廃止するということですから、実施されれば、もちろん中小企業にとっては朗報となります。
  これら2つがもし実現すれば、個人で事業をするよりは法人で事業をしたほうが節税になるケースが増えますので、一時的には、個人事業者の法人成り案件が急増する可能性があります。
  ちなみにこれら2つの施策を実行する場合の財源予想は、約2,500億円だそうです。
徴税の適正化など
  中小企業を支援する税制がある反面、税金を徴収する「徴税」については今まで以上に厳しくしていくようです。具体的には、脱税案件などに対して「罰則の強化や重加算税割合の引き上げ」、消費税の不正還付を防止するために「還付に係わる調査機能を強化」、企業活動の国際化に伴う移転価格税制については「速やかに関係各国と調整を行う体制を整えると同時に、一部に見られる租税条約の乱用等不適切な事案の摘発を強化」となっています。
  また、税務署が納税者に対して税金の修正などを求める「更正」の期間制限が5年なのに対して、納税者からの更正の請求の期間制限が1年なのはおかしいとして、早急に見直す、となっています。
  民主党の目指す税制の方向性である「公平」「納得」を具体化するために、これらの施策を実現しようとしているのでしょう。
租税特別措置の抜本的な見直し
  具体的な部分がまだ見えにくいのですが、もしかしたらとても大きな税制改正となるかもしれないのが、「租税特別措置の抜本的な見直し」です。
  租税特別措置とは、特定の政策目的を実現するために、一定の要件に該当する場合に特別な取扱いとして税負担を優遇または重くすることです。租税特別措置の中には、元来、一時的な取扱いであったのが、長年そのまま延長の繰り返しで現在に至っているものが数多くあります。
  そこで、民主党はマニフェストで、「研究開発の促進など真に必要な措置については、現在の時限措置から恒久措置へと転換していきます。また、温暖化を中心とする環境対策、雇用の維持・拡大、自治体の工夫や努力などによる地域活性化などの重要課題への対応を法人税制の中で図ることも検討します」と書きました。
  そして、租税特別措置の見直しの結果、課税ベースが拡大して税収が増えれば、企業の国際的な競争力の維持・向上などを勘案しつつ法人税率を見直していく、としています。これには期待したいと思います。
2009.10.05
  ページトップへ
税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁