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税理士が見る生命保険販売のツボ
「赤字にできない地元老舗企業には…」
  法人マーケットにおいて、その会社の決算書を入手できれば、保険提案につなげるためのきっかけをつかむことができます。
  そこで、今回から数回にわたって、保険提案のきっかけとなる可能性がある決算書のポイントをお話します。
  また、決算書というと、資産や負債を中心とした「貸借対照表」、利益がわかる「損益計算書」、さらにはお金の流れがわかる「キャッシュフロー計算書」の財務三表といわれるものがあります。それぞれについて、保険提案につなげるきっかけとなるであろうポイントをご説明します。
赤字にできない地元老舗企業には…
  業歴が長い地元の老舗企業となると、対銀行や対取引先、対株主などの関係上、そうたやすく赤字にできないということがあります。実際、損益計算書を見させてもらうと、なるほど長年黒字決算となっているのですが、数字を数年の時系列で詳しく見てみると、減価償却費や各種経費の増減などが見受けられ、「あ、この年はだいぶ無理して黒字化されたなー」とわかることがあります。
  つまり、このような著名な老舗企業となると、社長や会長が地元のさまざまな役職に就いていることもあってか、そう簡単に赤字にはできず、業績が芳しくないときには黒字化に相当苦労されていることがあります。また、当然ですが、業績が良くない赤字のときというのは、資金繰りでも苦労されていることでしょう。
  そこで、そのような赤字決算にできない会社には、「利益の平準化を狙った保険提案」をしてみてはどうでしょうか。
  例えば、黒字のうちに支払い保険料の半分が費用計上となる長期平準定期保険などを提案しておくと、上記のようなニーズを満たすことができ、喜ばれることがあります。ただし、このような利益の平準化を目指す会社向けには、満期返戻金のピークの期間が短いと使い勝手が悪いですから、ピークが長く続くタイプのものがいいでしょう。
シミュレーションしてみると
  簡単にシミュレーションしてみます。長期平準定期保険で支払い保険料が年間200万円とします。解約返戻金は、支払い保険料累計の80%として、7年後からそのピークを迎えるとします。そして7年後に赤字決算となりそうなところで、その保険を解約したとします。
  すると、図にあるように、200万円×1/2×7年=700万円が長期前払費用や保険積立金などとして資産計上されていますので、解約返戻金200万円×7年×80%=1,120万円との差額である1,120万円−700万円=420万円が収益計上できます。
  つまり、黒字化に貢献できるということです。さらには、解約返戻金1,120万円は資金繰りに使えます。
  次回も、引き続き保険提案のきっかけとなるであろう決算書のポイントをお話します。
  今回の内容が、生命保険営業員の皆様の中小企業経営者へのアドバイスの一助となれば幸いです。
2009.11.09
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁