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税理士が見る生命保険販売のツボ
「保険料と保険積立金からわかること」
  会社の決算書を入手できると、保険提案時に非常に参考になります。前回は、「損益計算書の利益」を題材に保険提案のきっかけについてお伝えしましたが、今回は、「損益計算書の保険料」および「貸借対照表の保険積立金」の多寡に応じた保険提案のきっかけについてお伝えします。
損益計算書の保険料が高額な会社
  保険提案において、損益計算書で利益以外に見ておくべき大事な項目として、販売費および一般管理費に計上されている「保険料」があります。単純にこの保険料が企業規模などを考えて多額に計上されている場合には、「保険料削減の保険見直し提案」となるでしょう。
  ただし、ここで単純に損益計算書だけ見ていたのでは、正しくないことがあります。そこで、貸借対照表の左側に計上されている資産の部も見てください。そこに、保険積立金や長期前払費用というのがあればその金額も把握しておいてください。例えば、終身保険であれば、通常全額、保険積立金に計上されていますので、損益計算書の保険料だけ見て保険見直し提案の話をすると、実態を反映できていないケースも考えられます。
  また、保険見直し提案において、単に保障がすべてなくなる「解約」という選択肢以外の手法を伝えてあげると喜ばれます。というのも、一般の方は、保険の見直しというと、今ある保険を解約するまたは新しい安価な保険に入り直す程度の知識しか持ち合わせていません。
  例えば、「特約部分だけの解約」や失効した場合の「復活制度の活用」、保険金額を下げることによって以後の支払いをストップしたまま主契約の保険が継続する「払い済み」、解約返戻金の一定の範囲内で保険会社からお金を借りることができる「契約者貸付」などです。
保険積立金および保険料が少額の会社
  今度は逆に、損益計算書および貸借対照表における保険料や保険積立金等が少額な会社には、「会社がまさかのときの必要保障額から訴求する保険提案」が有効でしょう。
  会社の必要保障額の計算方法はさまざまありますが、一般的には、借入金や買掛金の支払いなどから算出する「事業保証資金」に、最終報酬月額などをもとに算出する「経営者死亡退職金や弔慰金」と、自社株評価から計算する「事業承継資金」を加算したものとなっています。しかし、実際に計算するとかなり高額になることが多いですので、どこまで保険でカバーするべきなのかなど実行にはさらに詳細な検討が必要です。
  特に創業5年以内の会社などでは、この必要保障額の計算はしたことがないでしょうから、シミュレーションをしてあげるだけで喜ばれることもあります。

  次回も、引き続き保険提案のきっかけとなるであろう決算書のポイントをお話します。
  今回の内容が、生命保険営業員の皆様の中小企業経営者へのアドバイスの一助となれば幸いです。
2009.12.07
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁