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税理士が見る生命保険販売のツボ
「保険を使った役員貸付金清算プラン」
貸借対照表「役員貸付金」や「役員仮払金」
  貸借対照表の左側の資産の部に「役員貸付金」や「役員仮払金」が多額にある会社では、税務上や金融機関対策上のデメリットから悩まれていることでしょう。私たち税理士事務所の実務においても、「何とかしてこの貸付金を減らせないかな」という相談を受けることがあります。
  デメリットとは具体的に、「受取利息の計上による無駄な税支出」および「金融機関評価が下がること」です。さらには、ほっておくと、受取利息の計上による未収入金の増加によって雪だるま式に膨張していくことにもなりますので注意が必要です。
  一方、これらの役員貸付金や役員仮払金の発生時期は、さまざまです。個人事業を法人成りしたとき、自宅兼事務所などを建てたとき、役員個人費用を法人が立て替えたとき、などとなっています。
役員貸付金清算プラン
  役員貸付金などを減らしていくには、「役員給与の増額」や「役員退職金の支給」などがベターですが、急がれる方には、生命保険の担保機能を使った「保険を使った役員貸付金清算プラン」を提案してみてはどうでしょうか。
  具体的には、「会社契約で役員を被保険者とした生命保険に加入し、その保険証券を質権として金融機関から役員個人に融資を受けます。そして、そのお金で役員の会社に対する借入金(会社から見た場合は貸付金)を返済」します。図解しましたので、ご覧ください。
  ただし、このプランでの注意点は、3つあります。1つは、融資を受けた金融機関に役員個人が今後借入返済をしていかなければならないということです。そのための対策としては役員給与の増額が妥当かと思われますが、それに伴い所得税や住民税の負担が増えます。2つ目は、融資を受けた金融機関に対する金利負担です。個人の借金を金融機関に肩代わりしてもらったわけですから仕方がないのですが、余分な支出とも考えられます。3つ目は対応している保険会社などが限定されていることです。
  次回も、引き続き保険提案のきっかけとなるであろう決算書のポイントをお話します。
  今回の内容が、生命保険営業員の皆様の中小企業経営者へのアドバイスの一助となれば幸いです。
2010.01.12
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁