貸借対照表では、資産や負債以外に右下に表示されている「純資産の部」もご確認ください。可能であれば、併せて税務申告書の2枚目にある株主一覧も確認できると、現状がわかりなお良いでしょう。
この純資産の部が○億円などと多額になっていて、さらに現経営者が大半株式を所有している会社では、事業承継時の相続税納税資金問題を抱えていることが多いのです。そこで、株式の移転が未了で純資産の部が多額な優良会社には、「事業承継対策としての保険提案」が有効でしょう。
とっかかりとしては、税理士などとタイアップして、「株価計算」をしてあげるのがいいでしょう。すると、まだまだ若いと考えていた経営者も、今のうちから対策をしておかないといけないという危機感が出てくることがあります。このときに例えば、事業承継資金として活用するために、役員退職金準備のための保険提案などを行うと喜ばれることがあります。
また、遺産分割でもめそうな会社があれば、生命保険が受取人固有の財産で遺留分の対象外とされることを利用して、「生命保険を使った代償分割」の提案も有効でしょう。代償分割とは、「遺産の分割に当たって共同相続人等のうちの1人又は数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人等に対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法」(国税庁タックスアンサー)ですが、 具体的には、社長=契約者・被保険者、事業承継予定者=保険金受取人の終身保険に加入するなどが考えられます。
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