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税理士が見る生命保険販売のツボ
「平成22年度税制改正(定期金に関する権利評価)」
  民主党を中心とする新政権になって初の税制改正大綱が昨年末に発表されました。どちらかというと減税措置(減税措置の延長含む)が目立つ内容となっていますが、いくつか節税規制措置が書かれていました。
  特にその中でも生命保険営業員の皆様に影響が大きいと思われるのが、「定期金に関する権利評価の改正」です。
現行の定期金に関する権利評価の取扱い
  現行の定期金に関する権利の評価方法は、被保険者の死亡等により給付事由が発生している場合と未発生の場合に分かれています。
  現行の給付事由が発生している場合の有期定期金については、「給付金総額×残存期間に応じた下記の割合(最大:年間給付金額×15)」となっています。また、給付事由が発生している場合の無期定期金については、「年間給付金額×15」となっています。さらには、給付事由が発生している場合の終身定期金については、「年間給付金額×受給権者の年齢に応じた下記の倍数」となっています。
(有期定期金)

残存期間が 5年以下のもの

70/100

残存期間が 5年を超え10年以下のもの

60/100

残存期間が10年を超え15年以下のもの

50/100

残存期間が15年を超え25年以下のもの

40/100

残存期間が25年を超え35年以下のもの

30/100

残存期間が35年を超えるもの

20/100
(終身定期金)

年齢

倍数

25歳以下の者

11倍

25歳超40歳以下の者

8倍

40歳超50歳以下の者

6倍

50歳超60歳以下の者

4倍

60歳超70歳以下の者

2倍

70歳超の者

1倍
  現行の給付事由が未発生の場合の評価については、「払込済み保険料等の総額×払込開始時からの経過期間に応じた下記の割合」となっています。

経過期間が 5年以下のもの

90/100

経過期間が 5年を超え10年以下のもの

100/100

経過期間が10年を超え15年以下のもの

110/100

経過期間が15年を超えるもの

120/100
改正案はこれだ!
  これが、今回の改正案では、現行の評価方法による評価額が実際の受取金額の現在価値と乖離していること等を踏まえ、次の見直しを行うこととなりました。
  (給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額)
  給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、有期定期金・無期定期金・終身定期金にかかわらず、次の金額のうちいずれか高い金額とします。
(1)解約返戻金相当額
(2)定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、その一時金相当額
(3)予定利率等を基に算出した金額
  なおこの改正は、平成22 年4月1日から平成23 年3月31 日の間に相続もしくは遺贈または贈与により取得する定期金に関する権利(その期間内に締結した契約(確定給付企業年金等を除く)に係るものに限る)および平成23 年4月1日以後の相続もしくは遺贈または贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税または贈与税について適用します。
  つまり、平成23年3月31日までの相続等については経過措置を設けていますが、平成23年4月1日以後の相続等については、過去の契約も含めてすべて対象になるということです。
(給付事由が未発生の定期金に関する権利の評価額)
  給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額は、原則として、解約返戻金相当額とします。
  なおこの改正は、平成22 年4月1日以後の相続もしくは遺贈または贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税または贈与税について適用します。
  今回の内容が、生命保険営業員の皆様の中小企業経営者へのアドバイスの一助となれば幸いです。
※今回の内容は、国会を通過するまでは正式な確定事項ではありません。今後の国会審議
  動向などにより、内容が変更することがありますのでご了承ください。
2010.02.22
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁