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元保険会社医長が語る、
保険のセールスパーソンが知っておくべき
‘がん’にまつわる保険のはなし その2
ファイナンシャル・プランナー 黒田 尚子
  前回は、がん保険のパイオニアであるアフラックで長年医長を務めてこられた佐々木光信氏(現 保険医学総合研究所所長)に、保険医学の視点から、がんの定義に対する保険約款上と医学的な違いなど、がんに関する基礎的なお話を伺いました。
  引き続き、私黒田が聞き手となり、今回は、がん保険と医療の進歩、保険のセールスパーソンが知っておくべき‘がん保険’にまつわる医療についての話をインタビューしました。
 <佐々木光信氏 プロフィール>
保険医学総合研究所 (http://insmed.co.jp) 所長 医学博士
【専門分野】: がん医療全般、医療保険制度研究、
民間保険商品開発と商品研究
詳細については10月掲載分をご覧ください。
―現在は、「定期型」よりも「終身型」の医療保険やがん保険の方が、人気が高い状況ですが、めざましいがん医療の進歩を考慮すると、見直ししやすい定期型の方が良いのではないかという考え方もあると思うのですが、いかがでしょうか?
  そのような考え方もあると思います。医療保険やがん保険に限らず、死亡保障などでも、定期保険と終身保険のどちらを選ぶか、という議論はありますよね。一般的に、死亡率が上がっていくような場合には、終身保険の方がいい。ところが、日本は戦後一貫して死亡率が下がっていったので、定期保険の方が、商品設計的にも許容されてきたという背景があります。
  がんの統計を見てみると、日本では年齢調整をしたうえでも、がんの罹患率は上がり続けています。でも現在も増加傾向ではあるもののそれが鈍化し、一部分(胃など)は下がっている。そうなると、医療保険やがん保険も終身型から定期型へという考え方も保険会社側としては、あるかな、と思います。
  ただ、お客さまが終身型に求めるものはそれだけではありませんよね。これから、(保険料が)下がっていくことが見込めるのであれば、定期型がいいということになりますが、がんの医療において、お客さまが10年先の保険料についてどこまでイメージできるのかといった問題もあります。もちろんFPなどの専門家が「10年後はこうなりますよ」といったようにアドバイスすることはできるでしょう。でも、医学の世界ではなかなか難しいですから、その部分の不透明感はあると思います。
  定期型にすれば当面の保険料を下げることができます。更に10年後の更新時に発生率が下がっていれば、更新後の年齢による保険料の上昇分を相殺しても、場合によってはさらに保険料が下がる可能性があります。保険を作る側としては、今後がんの発生率がどんどん下がっていくのであれば、定期型にシフトしていこうかな、という考え方は当然出てくるでしょう。
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