>  今週のトピックス >  No.2589
小規模宅地評価減の拡充、実務上の注意点は?
● 基礎控除引き下げに対応する減税措置
  平成25年度税制改正大綱の中で、相続税においては「基礎控除の引き下げ」という増税項目が盛り込まれているが(今週のトピックスNo.2577参照)、一方で減税になる項目もある。その1つが、「小規模宅地の評価減の拡充」である。
  「小規模宅地の評価減」とは、個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分について、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定割合の減額が認められている制度である。
  具体的には、主に以下の2点の拡充が盛り込まれている。
   1.  特定居住用宅地等(注1)に係る特例の適用対象面積を330u(現行240u)までの部分に拡充する。
2.  特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等(注2)及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととする。
  上記項目の改正時期は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する、とされている。
● 改正の恩恵を受けられる人、受けられない人
  前述の1については、特定居住用宅地等の面積が240uを超えている場合に恩恵があるが、特定居住用宅地等の評価減については、取得者(相続人)要件があるため、誰が取得しても評価減が受けられるわけではない点に注意が必要である。被相続人の居住の用に供されていた宅地等の場合、配偶者は無条件で評価減を受けられるが、その他の親族の場合には、被相続人と同居していたかどうかによって、それぞれ要件が定められている。
  2は、特定事業用等宅地等と特定居住用宅地等の完全併用が可能になる、というもので、被相続人等が個人事業を行っていた場合や、特定の同族会社に貸し付けられ、その会社の事業の用に供していた場合等に対象となる。ただし、この事業からは不動産貸付業は除かれるため、注意して頂きたい。
(注1) 相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、一定の要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいう。
(注2)  相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除く)の用に供されていた宅地等で、一定の要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいう。
※  「平成25年度税制改正大綱」については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
マネーコンシェルジュ税理士法人が
新刊を上梓しました!
会社を守りぬく
ガマン経営22の心得
体裁:A5判サイズ、48ページ
価格:315円(税込)
発行:清文社
注目!
マネーコンシェルジュ税理士法人のホームページ(HP)から直接注文した場合、定価315円のところを2割引の252円で購入できます(送料無料、振込手数料はお客様負担)。
詳しくは、マネーコンシェルジュ税理士法人のHPをご覧ください。
http://www.money-c.com/masukomi/gaman/gaman.htm
  「会社を潰す可能性を、潰す」というテーマで、税理士の視点からまとめた経営指南書。厳しい経営環境の中、会社を潰さないために経営者がなすべきこと(取引先の多様化、大得意先の与信管理、経営者の過大及び過少な遊興の抑制、経営者の異常な傲慢さへの気づき、経営者のモチベーション維持 他全22項目)を取り上げ、図を用いてわかりやすく解説しています。法人マーケットでの営業ツールに最適な1冊。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/
  
  
2013.03.14
前のページにもどる
ページトップへ