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遺言作成の費用―弁護士に依頼した場合−
  遺言を作成するにあたり、確実な方法として公正証書遺言を利用する方法がある。その場合には、相続財産等に応じた手数料がかかる(参照:No.2680 遺言の方式―公正証書遺言にかかる費用―)。また、遺言の内容や方式について、弁護士などの専門家に依頼する場合には弁護士報酬等の費用が発生する。
  それでは、遺言の作成や執行を弁護士に依頼した場合、どのくらいの報酬が必要なのだろうか。
  弁護士の報酬は、2004年(平成16年)4月以降、自由化されているが、現在でも(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に基づいて報酬を算定している法律事務所が多いとのことである。
  廃止前の東京弁護士会弁護士報酬会規によると、
  ・定型の遺言書作成は10万円以上20万円以下(公正証書遺言は3万円追加)
  ・遺言執行費用は相続財産額が5,000万円の場合で約100万円
であったという。また、事案が複雑な場合は、それに応じて報酬も増えることになる。
  日本弁護士連合会が作成した「市民のための弁護士報酬の目安 [2008年度 アンケート結果版]」によると、「定型的な遺言書を作成したい。資産は、不動産、預金と株券で、評価額の総額は5,000万円である」という事例において、各弁護士がどのくらいの報酬を設定しているかを調べた結果は以下のとおりである。
公正証書遺言作成手数料
10万円前後 50.7%
20万円前後 30.2%
30万円前後 12.7%
50万円前後 2.1%
遺言執行者にもなっているときの
遺言執行手数料
40万円前後 27.1%
100万円前後 19.6%
60万円前後 18.6%
20万円前後 18.3%
(出典: 日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬の目安 [2008年度 アンケート結果版]」
全国1,026名、経験年数3年以上の弁護士の回答を集計。
上記の表は「その他」を除き上位4回答を抜粋)
  公正証書遺言作成にあたって、弁護士は、遺産の内容や評価額の調査、遺産の分配のアドバイスのほか、公証人との準備段階での協議や証人の確保などさまざまな役割を担当する。また、遺言執行者としては、すべての相続人などへの遺言内容の説明、登記・登録の名義変更の手続き、遺言書で指定された人への物品や預金の引き渡しなどの仕事がある。この調査結果をみると、遺言作成費用は概ね旧報酬基準と同程度、遺言執行手数料に関しては旧報酬基準による金額に比べて比較的少ない報酬で受任しているケースが多いようである。
  相続財産が多い場合だけでなく、相続財産の中に分割が難しい財産が含まれている場合等、遺産分割に際してトラブルが予想される場合には、遺言の作成や遺言執行者の指定をしておくことが望ましい。それなりの費用がかかることなので、早いうちから検討を始めておくべきであろう。
参考 日本弁護士連合会
「市民のための弁護士報酬の目安 [2008年度 アンケート結果版]」
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/attorneys_fee/data/meyasu.pdf
2013.12.02
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