>  今週のトピックス >  No.2805
教育資金贈与制度、開始1年で終了時見込み件数を上回る
  昨年のトピックスNo.2569でも紹介したが、祖父母など直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合に、贈与額1,500万円まで贈与税を非課税とする「教育資金贈与制度」が始まり、1年が経過した。
  日本経済新聞(平成26年4月7日)によると、「贈与額は大手信託銀行4行の合計で4,300億円、契約数は6万5千件に達する。当初は2015年(平成27年)末までに5万4千件を見込んでいたが1年で上回った」とのこと。この記事からもわかるように、資金に余裕のある高齢者層には大変関心の高い制度である。
  今のところ、平成27年12月31日までの時限措置であるが、生命保険営業員の皆様にはぜひ再認識していただきたい制度である。
● 制度の概要
  平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に、受贈者(30歳未満に限る)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から、
@ 信託受益権を付与された場合(信託銀行を活用)
A 書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入した場合(銀行を活用)
B 書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合
   (証券会社を活用)
に、これらの信託受益権または金銭等の価額のうち、1,500万円までの金額に相当する部分の価額について、贈与税が非課税となる制度である。ただし、金融機関等の営業所等を経由して「教育資金非課税申告書」を税務署に提出する必要がある。
  その後、受贈者が30歳に達するなどにより、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外に支払う金銭については、500万円を限度)を控除した残額があるときは、その契約が終了した日の属する年に残額分の贈与があったものとして、贈与税の課税対象となる。
  平たく言うと、贈与した時点でも、非課税とされる教育資金として使用した時点においても、贈与税が課税されることはないが、受贈者が30歳になった時点において使い残しがあれば、それについて贈与税が課税されることになるのである。
  なお、贈与者の死亡前3年以内に教育資金の一括贈与が行われた場合であっても、その贈与された金銭等の価額は、相続税の課税価格に加算されない(3年内贈与加算の適用除外)。
● 「教育資金」の対象に含まれるものは確認が必要
  この制度における「教育資金」とは、文部科学大臣が定める「学校等に支払われる入学金その他の金銭」と「学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの」である。例えば塾代については、学校等以外の者に支払われるケースに含まれることになるため、受験に係る費用全般についてこの制度を活用することができるが、下宿代は対象外となる。どういったものが非課税の対象となるかの詳細は、文部科学省のホームページでご確認いただきたい。
参考:文部科学省「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について」
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2014/03/17/1337560_1.pdf
  この制度は、信託銀行、銀行、証券会社等で利用することができるが、手数料などは金融機関によって異なる。また、先に立替払いをし、後日領収書等を持参して出金してもらうパターンが多いが、なかには前払いに対応してくれる金融機関もあるので、事前に確認されることをお勧めする。
参考:文部科学省「領収書等に関するチェックツール」
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2014/03/27/1337560_02.pdf
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今村 京子 (いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2014.04.17
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