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留学資金の融資実績が大幅増、教育ローンの拡充も後押し
● 海外留学資金の融資実績が過去6年間で最高に
  日本政策金融公庫の発表によると、平成25年度の海外留学資金の融資実績がリーマンショック後の過去6年間で最高になりました。融資実績を見ると、融資件数は1,119件(対前年度比127.7%)、融資総額は約23億5,300万円(対前年度比138.2%)と、リーマンショック以降減少傾向だった、海外留学資金ニーズが盛り返してきました。
海外留学資金の融資実績 (金額単位:百万円)
年度 19 20 21 22 23 24 25
融資件数 1,276 1,020 908 877 856 876 1,119
融資金額 2,055 1,657 1,617 1,692 1,588 1,702 2,353
日本政策金融公庫資料より
  海外留学資金の融資が増えた背景には、グローバル人材の育成を戦略的に進める政府の方針も影響を与えているようです。
  政府が推進する「日本再興戦略」では、世界で活躍できるグローバル人材育成のため、国際的な英語試験の活用や、意欲・能力のあるすべての若者に対して留学機会を与えることとしています。このような施策により、2010年に6万人であった日本人留学生を、2020 年までに 12 万人へと倍増させることを目指しています。
● 教育ローンの制度拡充による留学への支援強化も
  一方で、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」についても、平成25年5月から制度が拡充され(今週のトピックス No.2712参照)、海外留学を目指す人向けには以下のようなものがあります。
@海外留学資金として利用する場合、対象となる世帯年収の上限額を緩和
子どもの人数 拡充前世帯年収上限額 拡充後世帯年収上限額
1人 790万円(590万円) 990万円(770万円)
2人 890万円(680万円)
※3人は従来制度と同様。カッコ内の数値は所得金額
A下記の条件を満たす場合、海外留学時の教育施設の修業年限緩和(6ヵ月以上が3ヵ月以上に)
1.海外の大学等 に条件付き(語学力の向上など)で入学を許可された場合
2.1の条件を満たすために入学・在学する学校(語学学校等)の資金として利用する場合
※外国の高等学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院などご融資の対象になる学校
  さらに、平成26年4月からは教育ローンの融資限度額が拡充され、海外留学資金として利用する場合の融資限度額は、通常の350万円から450万円にアップしました(海外の短大、大学、大学院に1年以上留学する場合)。
  このような国のバックアップにより、海外へ留学することのハードルは下がりつつあるといえるでしょう。
  子どもを海外留学させることについて、同じく日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成24年度)」によると、子供を「留学させたい」または「条件が合えば留学させてもよい」と回答した人の割合は、全体の52.8%と半数を超えています。また、「子供を留学させるうえで重視すること、障害になること」について、「留学費用」と回答した割合は77.6%(留学させる意向を持つ親の世帯)となっています。これらのデータから、留学させたいけれども、留学費用の捻出に頭を悩ます親の心理が読み取れます。
  将来、子どもにグローバルな人材に育ってほしいと考えている人は、子どもが誕生したら通常の教育資金とは別に、留学資金についても早めの準備が必要になりそうです。お客さまの教育プランについては進学コースだけではなく、留学の意向についてのヒアリングも必要でしょう。
  
高橋浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2014.05.22
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