>  今週のトピックス >  No.2882
高額療養費制度の所得区分が細分化へ!
● 高額療養費の所得区分を5区分へと見直し
  高額額療養費制度の見直しが、2015年1月に控えています。予定されている見直し内容は、70歳未満の「所得区分」です。医療費の負担能力に応じた見直しが目的で、自己負担限度額も細分化される予定です。見直し前と見直し後の、所得区分と自己負担限度額は以下のようになります。
<70歳未満>
  【見直し前】
所得区分 限度額
上位所得者
(標準報酬月額53万円以上)
150,000円+(医療費−500,000円)×1%
一般所得者(上位所得・低所得者以外) 80,100円+(医療費−267,000円)×1%
低所得者(住民税非課税) 35,400円
  【見直し後】
所得区分 限度額
標準報酬月額83万円以上 252,600円+(医療費−842,000円)×1%
標準報酬月額53万〜79万円 167,400円+(医療費−558,000円)×1%
標準報酬月額28万〜50万円 80,100円+(医療費−267,000円)×1%
標準報酬月額26万円以下 57,600円
低所得者(住民税非課税) 35,400円
  このように、現在の「上位所得」「一般所得」「低所得」の3区分から、収入に応じた5区分へとより細かく見直されます。住民税非課税の低所得層は変わらないものの、それ以外の低・中所得層の負担軽減と、高所得層の負担増加が明確に打ち出された見直しと言えそうです。
● 「国民皆保険」制度を維持するには医療費抑制が不可欠
  日本人の平均寿命が男女ともに過去最高を更新して、男性もついに80歳を超えましたが、いよいよ「超」高齢社会の始まりを予感させるデータでした(厚生労働省「平成25年簡易生命表の概況」より。今週のトピックスNo.2874参照)。
  高齢化になると不安になるのが、病気やけがに伴う医療費。高齢化が進むとともに国民医療費も年々増え続け、平成23年度で約39億円、一人当たりにすると約30万円になっています(厚生労働省「平成23年度国民医療費の概況」より)。
  日本は健康保険制度や医療体制が充実していますから、少しでも具合が悪ければ、気軽に安心して診てもらうことができます。健康な人生を歩むには欠かせない環境ですが、便利な反面、医療費の抑制という点では難しく、今後の医療費の伸びをどのように抑えていくのかは、簡単に解決できるものではないでしょう。
  高額療養費制度も幅広く周知されてきているようですが、制度の存在については、実際に大きな病気やけがで多額の医療費を払って初めて気がつく面もあります。しかし、実際に高額療養費制度を使った人からは、負担が軽くて助かったと言う声も耳にします。
  「国民皆保険」の健康保険制度を持続するためにも、負担できる人にはそれ相応の負担を求め、医療費の抑制をはかることは自然な流れではないでしょうか。
  医療保険マーケットに影響のある見直しですので、早目の情報提供は欠かせませんね。
  
高橋 浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2014.09.04
前のページにもどる
ページトップへ