> 生保営業 成功のヒント > 第3回 @の力=「人柄力」の「核(コア)」
生保営業のヒント
マネジメント1 タイトル
@の力=「人柄力」の「核(コア)」
「販売」ではなく「募集」を…
  私がこの仕事を始めたころ、先輩方が熱く語ってくれました。 「『愛情』や『思やり』、そして、『感謝の気持ち』はお金では買えないよ。だけど、お金に『愛情』や『思いやり』、そして『感謝の気持ち』を込めて表現することは可能だよね。その表現方法のひとつとして『生命保険』が誕生したんだと思うよ。
  それに、生命保険は『一人は万人のために、万人は一人のために…』との助け合い、相互扶助の制度なんだ。私たちの祖先が、この地球上に『生』を受けてから、数々の文化遺産を残してくれたけど、その中の傑作のひとつが『相互扶助の制度』」だと思うよ。
  だから、生保の営業は、『販売』ではなく『募集』なんだ。対話の中で、『相互扶助の制度』に理解 を深めていただき、制度に賛同する人を…、共鳴する人を…、と毎日毎日コツコツ募り集める『募集』が、私たちの仕事なんだ…」と。
  皆さんも同じようなことを、仕事を始めたころに、教えてもらったのでは…。
  これは、生保業界で働く者にとっての「基本的な原点」ではないでしょうか。
  「高度経済成長、転換全盛へと、時代とともに『セールスマン』とか『セールスウーマン』とかの呼び名が生保業界にも登場し、『募集』ではなく『販売』の声が大きくなってきた。それとともに、『基本的な原点』に対する意識がだんだん薄くなって来たのでは…」
  と嘆く優勢者の方々が増えてきましたね。
  しかし、時代が変わろうと、人々の価値観が多様化しようと、優績者の方々は、この「基本的な原点」を大事にしていらっしゃいますね。また、大事にしているからこそ、優績を続けてきたに違いないですね。
  「原点」を持っている人は強い。「原点」を持っている人はブレない。
  「原点」が「信念」に、「信念」が「哲学」に…、なっているんでしょうね。
  これが「人柄力のコア(核)」のひとつでは…。
2つの「カンジョウ」を大切に…
  損をするより得をする方が良い、ローリターンよりハイリターンの方が良い、とソロバン勘定に走るのも人情。しかし…、
  「保険は損だよなー」と契約時にちゅうちょされるお客さまにお会いしたら…。「○○さんには満期のときに、『損をした…』と言っていただききたいなあと思って、今日は伺いました」
  「よく言うよ! 保険料を支払うのは、私なんだよ…」と言われたら…。「○○さん、生命保険で金銭的に得をした方は、契約後すぐに亡くなった方、契約後すぐに長く入院された方等ですよね。損 害保険でも、車の保険を契約後すぐに車を大破してしまった方、家の保険を契約後すぐに火災で全焼してしまった方等々…。いずれにしろ、契約後満期までに不幸や大きな災難に遭った方ですよね。
  ○○さんには満期のときに、『損をした…、と言っていただきたい』と申し上げたのは、その間、○○さんは不幸や大きな災難に遭わず、健康で幸せな満期を迎えられた証拠ですよね。
  ぜひ、そう言ってください。私も幸せですし、大きな喜びです」
  「『ただひとつ例外の商品があります。それは終身個人年金です。長生きすればするほど年金を長くお受け取りになれます。お元気でたくさんの年金を受け取っていただきたいですね』。
  そして、こう付け加えるんだ。
  『そのうえ、○○さんをはじめ多くの皆さんからいただいた保険料の一部が、そんな不幸や大きな災難に遭った方や、そのご家族の経済的な支援に役立つんですね。この助け合いの輪にぜひ○○さんも参加してください』と」。
  「ソロバン『勘定』も大事だけれど、特に生保は、『愛情』や 『思やり』、そして『感謝の気持ち』をベースに出来た情念の商 品だよ。もうひとつの『カンジョウ(感情)』を大事にしようよ。
  『悲しみ』と『貧しさ』が同時に来る『不幸や災難』。みんなで 助け合った『保険金や給付金』が、そこから立ち上がる勇気と力 になれば…。それが『相互扶助の制度』だよ…」と。
  だいぶ以前の話ですが、「収支相当の原則」も踏まえ、話法の訓練をしながら先輩は教えてくれました。
  これも、時代が変わろうと、人々の価値観が多様化しようと、優績者の方々も、私の先輩と同じように大事にしてこられた「基本的な原点」ですね。
  「原点」を持っている人は負けない。「原点」を持っている人は苦難を乗り越える。
  「原点」が「使命」にまで昇華されているんですね。
  これも「人柄力のコア(核)」のひとつでは…。
「商売」は「笑売」
  確か、大衆文学の大御所、長谷川伸さんの言葉と記憶していますが、「世の中には二つの苦労がある、良い苦労と悪い苦労だ。良い苦労をした人は味があり、悪い苦労をした人はイヤミが鼻につく、と教えられた。ところが、長い人生を生きてきたが、苦労はひとつだった…(記憶があいまい? 文章に自信がありません)」と。
  長く優績を続けていらっしゃる方々は、味がありますね。「誇り」と「誠意」を資本に、良い苦労を長い間重ねて作られた味ですね。さまざまの苦難を心の持ち方ひとつで「人生の味」に練り上げて来られたのでは…。
  「商売」は「笑売」と…。常に前向きに一つひとつの苦難を、そのポジティブな思考と負けじ魂をにじみ出る笑顔に包んで、成長の糧にして来られたのでは…。
  「朝の来ない夜はない(吉川英治)」と…。
  ところで、生保業界も、金融工学などという耳新しい言葉で化粧した「まやかしの錬金術」に煽られて、ソロバン「勘定」へ傾斜しているのでは…。変額保険の「特別勘定」は別にして、せめて定額保険の「一般勘定」だけは、安心安全の運用を…、と願うのは杞憂でしょうか?
  それに、新聞やテレビをにぎわす、厚生年金保険や国民年金保険も、保険の機能がどこかに飛んで 行ってしまったような論調が多いのでは…。「いくら支払っていくらもらう…、損だ…、得だ…」と。遺族年金や障害年金でどれだけの人が助かっているか等は、どこかに飛んで行ってしまって…。「四角の保険」を、「三角の貯金」の物差しで測っているような…、違和感。
  いずれにせよ、家庭や企業における最大のリスクをはじめ、諸々のリスクをカバーするお手伝いをさせていただくだけでなく、金銭至上主義、利己主義のはびこる今だからこそ、「相互扶助の制度」による「助け合いの心」を、社会に広げていく生保事業の使命は、ますます重く大きいと思うのです。
  その最前線の担い手として、優績者の方々をはじめ皆さんが、草の根の営業で日夜募集活動に走っていらっしゃる。
  深い感謝と、そして拍手を贈らせていただきます。
  人類は「相互扶助」を原則とする。人類はこの原則に従えば栄え、この原則に従わなければ亡んでしまう
  <孫文>
(つづく)
2009.06.01
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須長 光男 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
 宮城県出身
 明治生命(現 明治安田生命)入社、機関長、機関経営コンサルタント、
 支社長を経て本社営業教育部で販売技能開発、教育研修を担当。
 平成8年より(株)セールス手帖社保険FPS研究所の企画開発部長と
 なり、生保に関するテキスト、マニュアルの企画・執筆の一方、
 セミナーも数多く行っている。
[主なセミナーテーマ]
 「事業承継・相続対策プラン販売のすすめかた」「事業保険見直し販売のすすめかた」
 「公的年金知識をアプローチとした生命保険の販売」「FP知識を活かした実践的販売手法」
 「採用・育成のヒント」
 「セールスマネージャーの実践的マネジメント」
 「目標実現のためのホロニックマネジメント・トレーニング」
[講演・セミナー実績]
 全国各地のJA共済連LA向けセミナー
 簡保、全外協等の大会における各種講演
 生保各社の機関長、組織長、営業職員向けセミナー
 生保各社の機関長・組織長合同ホロニックマネジメント・トレーニング
 その他、大手企業管理責任者向けセミナ−や中小企業経営者を対象とした講演等、
 年間60〜70回実施。
須長 光男