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生保営業のヒント
生保営業(募集編)
Aの力=「行動力」その5:優績者に学ぶ「生保営業4つの活動」-4
2. 育てる(ハートオープン)活動について PART3
  古くからの友人や知人で信頼関係が十分にできている場合や、または紹介等で、初回訪問から即「売り」に入れる場合には「信頼醸成のための対話」はあまり必要ないかもしれません。
  しかし、まったく知らないところへの「飛び込み訪問」の場合には、初回から連続する継続訪問のなかでチャンスをとらえ、「質問」から「対話」につなげ、さらに「対話」を重ね、信頼関係を醸成していく、いわゆる「育てる(ハートオープン)活動」が大切ですね。
  そこで、先輩諸氏から教えていただいたものを私なりに加工し実践した、中小企業の創業社長へのアプローチ質問に絞って、「5つの話材」としてご紹介します。ぜひ、話法を磨き上げるヒントにしてください。
経営者へのアプローチ質問「5つの話材」
(1) 「創業のころは、ご苦労されたんでしょうね?」
  「そうだねー」「それは最初はね…」とか「苦労の連続だったよ」などの返事がきたら、「そうですかー、ご苦労がおありだったんですねー」と真剣に聴き入り、社長さんがその先の具体的なご苦労話をされたら、「そうだったんですか、それでどうされました?」と、うなずきを交えながら先を促す…。
<詳細は、第2回“聞き上手”の項を参考に工夫してみてください>
  中には、「あまり苦労はなかったねー」とか「話すほどの苦労はしてないよ…」と、照れ隠しを笑いに紛らせながらの返事がくることもありましたね。
  そんなときには、「順風満帆の出だしだったんですねー」とお返ししたら、「そんなことあるわけがないじゃないか…」と、本音が出てきたりしましたね。
  また、「経営には、人、物、お金、それに情報…、全部大切だと思いますが、スタート時には、特に何が大切で必要でしょうか?」等々、二の矢三の矢の質問を用意しておいて、とにかく対話を途切らせないことですね。
  対話を終了させるのは、主導権を握って「こちら」です。
「あっ、こんな時間になってしまいました。いやあ…、今日は大変勉強になりました。また、ぜひ教えてください。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。失礼致します」などと。
<「あれ、もう帰るの?」が潮時です。以下のアプローチ質問についても同じです。第6回“「しつこい」と「熱心」”の項も参考にしてください。>
(2) 「ここまで会社を大きくされた秘訣(成功のポイント)は?」
  「そうだねー、秘訣と言えるかどうか…。とにかく誠実に納期を守ること。また大切なのは会社全体の団結だね」などの返事がきたら、
  「誠実と団結ですね…。もっと詳しく教えてください」と、うなずきを交えながら「それを継続することは大変だったでしょうね。継続できた秘訣を、ぜひお聞かせください、お願い致します」などと、先を促しながら対話を深めたらどうでしょうか。
  ○二の矢三の矢の質問例
・ 「企業秘密かもしれませんが(笑)、ぜひお願い致します」
・ 「これまでピンチのときもあったと思いますが、どのようにして乗り越えられたのでしょうか?」等々と、工夫してみてください。
(3) 「今一番力を入れていらっしゃることは?」
  「新商品の開発だよ」「日々技術の革新だね」とか「なんといっても人材の育成だよ」などの返事がきたら、
  「新商品の開発に一番大切な視点は…」「技術の革新で大事なポイントは…」とか「人を育 てるために、一番必要なことは…」等々。
  ○二の矢三の矢の質問例
・ 「今一番の売れ筋商品は何でしょうか?」
・ 「今業界のトレンドは?」等々と、知恵を絞ってください。
(4) 「お役に立てるかどうか分かりませんが、私にお手伝いできることがありますでしょうか?」
  ズバリ「お客さんを紹介してよ」から「とにかく良い人がほしいね。人は石垣、人は城だからね…」。また、「息子の嫁さん候補や、ペットを見つけてほしい…」等々まで。
  ここまで進んでくると社長さんも胸襟を開いて、いろいろと話をしてくれました。
  だから、あとは「約束への誠実な努力と途中の経過報告」が大事ですね。アクシデントなどで、時間が取れないような日々が続いたとしても、せめて手紙やメールで、「途中の経過報告」を必ずしてください。
  くれぐれも、「聞きっぱなし」や「忘れた」は言語道断…、これをやったら言い訳はききません。今までどんなに苦労して積み重ねてきた信頼も崩れ落ち、逆に信用を失うことは疑いありませんね。
(5) 「人生の先輩として、私にアドバイスをいただけませんでしょうか?」
  これは説明要りませんね。さまざまな荒波を乗り越えてきた人生の先輩の方々からのアドバイス、本当に貴重です。
  「エー、そんなところは俺にないよ…」と思うこともあるかもしれません。しかし、他人の評価も大切ですし、的を射ている場合も多いですね。
  「背中のホクロは、自分では見えにくいが他人はよく見える」「常に謙虚であれ、謙虚でないと物事の本質が見えなくなるぞ」と、若く生意気盛りのころに先輩からいただいた忠告です。
  そんなときには、好き嫌いにかかわらず勇気を出して、なるべく多くの社長さんからアドバイスをいただくと、自分が見えてきましたね。
  おのおののアプローチ質問について、「先日は大変ありがとうございました。今日はあの続きを教えてください。よろしくお願い致します…」などと1〜3回くらいに分けて、中にはそれ以上の訪問を重ねて質問し、教えていただきました。その中で信頼関係が強くまた深くなっていきましたね。
  「人は話をしてくれた人よりも、話を聞いてくれた人を信頼し、好感を寄せる」
と先輩が教えてくれたことを、「本当にそうだなー」と体験からしみじみと実感しています。
飛び込みで経営者にお会いするひとつの方法
  「メリットも分かった。質問を用意しておいた方が良いことも分かった。だけど飛び込み訪問で、社長にお会いできなければ…。それが一番難しいことなんですよ」
と、セミナーなどでもよく質問を受けます。全くその通りですね。
  そこで、「男は度胸だよ…。社長さんへ直接名刺を渡せるよう頑張れ!」と、少々乱暴な訪問の仕方でしたが、先輩が教えてくれたことをご紹介したいと思います。もちろん、自分なりの工夫を加えて実践しましたが、ずいぶん助かりました。
(1) 入り口突破
@受付がない場合
  そのまま、「こんにちは、お邪魔致します。失礼致します」などと、なるべく部屋にいる多くの方々に、ごあいさつをしながら部屋の一番奥まで進む。奥に座っている方に「社長さんでいらっしゃいますか?」
  「そうだ」と答えたら、初めて名刺を出して自己紹介かたがた、ごあいさつ。
  「そうではない」と答えたら、「社長さんにお会いしたいのですが…」
  「工場のほうにいるよ」とか、「倉庫にいるよ」とか教えていただければラッキーですね。
  「出かけているよ」などの場合は、「そうですか、また伺います。お邪魔致しました」と、早々に辞去することですね(そして後日再度アタック)。
A受付の方がいる場合
  「社長さんにお話申し上げたいことがありまして、伺いました。ぜひ、お会いさせていただきたいのですが…」
「どちらさまですか?」
「〇〇(姓名のみ)と申します。よろしくお願い致します」
「どちらの〇〇さまでしょうか?」
「△△町(事務所の所在地か現住所)の〇〇です。よろしくお願い致します」
「どのようなご用件でしょうか?」
「ちょっと複雑なお話なんです。間違って社長さんに伝わりますと、あなたさまにもご迷惑をお掛けしてしまいますので、直接お会いしてお話をさせていただきたいのですが、よろしくお願い致します」
  数多く訪問していると、ここまでの会話の間に取り次いでもらえることも多々ありました。また、先輩は「生命保険、まして事業保険は、単純ではないよね。自信を持って『複雑な話』と言うんだよ」ともアドバイスをしてくれました。
  しっかりした受付の方の場合には、そう簡単にいきません。
「お約束(アポイント)をいただいているのでしょうか?」
「お約束を…、とも思ったのですが、大至急お伝えしたいと、飛んで参りました。よろしくお願い致します」
ここで、取り次いでもらえることもありました。
Bインターホンによる受付の場合
  顔が見えるよりも、受付専門ではない方が出る場合も多かったので、会話がしやすく取り次いでもらえる確率も高かったですね。
いずれの場合でも、
「お名刺をいただけますでしょうか?」
こうなったら、しかたがありません。通常の正攻法の訪問と同じになりますね。
(2)社長さんにお会いできたら
  「社長さんですか? 私〇〇と申します」と、名刺を差し上げながらごあいさつ(必ず社長さんからも名刺をいただくことが大事)。
  「ああ、保険屋さんか…。もう目いっぱい入っているよ…。銀行さんの紹介とかもあってねー」。こんなごあいさつが一般的ですが、なかには笑いながら
  「あんたも苦労しているねー」(ご苦労人は、こちらの苦労も分かってくれますね)
  「すみません。大変失礼致しました。なかなか社長さんにお会いさせていただけないものですから…。大変失礼なことを致しました」
  「でも保険はもう入れないよ…」
  「結構でございます。今度この地区を担当させていただくことになったものですから、ごあいさつに伺いました。これからいろいろ教えていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。今日は本当にありがとうございました」
  「教えることは何もないよ…、また何回来ても、もう入れないよ」などと言われますね。この後が大切です。その日のうちに「お礼状」を出すことですね。
  後は「ニコニコ、チョコチョコ、あっさりコツコツ、明るい笑顔で足まめ手まめ」の継続訪問で、対話のチャンスを待ち、作ることですね。
  「十人十色」「百人百様」…、さまざまな経営者がいらっしゃいます。また、皆さんのキャラクターも異なります。そして、それぞれの地域によっても違いがあると思います。ぜひ、そしゃくし、ご自分に合った方法を工夫し活用してみてください。
  先輩が教えたかったことは、もちろん「飛び込みで社長さんにお会いする方法」もあったと思いますが、それ以上に教えたかったことは、「成果につながる確率は低いが、常に飛び込みで営業の腕を磨け。そして、白地飛び込みと比べたら紹介のありがたさ、先輩から引き継いだ既契約事業所のありがたさを、身にしみて忘れずに大切にしろよ」ということではなかったのか…、と思うのです。
(つづく)
2010.04.26
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