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生保営業のヒント
生保営業(募集編)
Aの力=「行動力」その6:優績者に学ぶ「生保営業4つの活動」-6
3.契約締結(売る)活動について PART2
「個人作業」と「集団作業」
  「売りの4力」のうち、(1)情報収集力(4)商品提案力は、まれにはペア活動の場合もあるでしょうが、原則は個々人が行う「個人作業」ですね。
  一方、(2)情報分析力(3)商品設計力は、お客さまからお借りした証券をはじめ、これまでたくわえた諸々の情報を事務所に持ち帰って、上司や先輩から知恵や知識をお借りしながら、作業をすすめることができますので、「集団作業」と私は呼んでいます。
  知恵や知識の情報は、インターネットサイトをはじめ、手に入れやすさとその量は、従前に比べたら天地雲泥の差になりました。そのうえに、同じ土地・環境で仕事をしている上司や先輩、ときには同僚や後輩からの情報を加えれば、「鬼に金棒」です。
  「聞くは一時の恥、聞かざるは一生の恥・一生の損」とか…。遠慮せずドンドン聞いて、(2)情報分析力(3)商品設計力を磨いていきたいものですね。
     (2)情報分析力
     さまざまな角度・始点から、収集した情報を分析して整理することができると思います。また、経営者の方々のニーズも百人百様です。
  すでにご存じのことも多いかもしれませんが、ここで優績者の方々から教えていただいた「事業保険見直し提案のヒント」の中から、いくつかをご紹介したいと思います。ぜひ、分析・整理そして話法づくりの参考にしてみてください。
     ●事業保険見直し提案のヒント
       ヒント1
     法人の支払う事業保険の保険料は、「入口」と「出口」の違いだけで、すべて損金になる。
  (税法上厳密にいえば間違いですが…。解説をお読みください)
    <解説>
     受取額(満期・死亡保険金や解約返戻金)−資産計上額=保険差益(損)
    
     この式を見ればお分かりいただけると思います。
  終身保険や養老保険などの保険料のように、支払時には損金にならないものでも、満期保険金や死亡保険金などを受け取る場合には、今まで資産に計上していた保険料(配当金を含む)相当額を取り崩しますので、「出口」で損金(正しくは損金といいませんが、効果としては同じです)となりますね。
  つまり生命保険は、最初の「入口」(保険料支払時)か、最後の「出口」(保険金等受取時)で、保険料(相当分)が損金となるわけです。
  かつてのバブル時代のころのような、「入口」(保険料支払時)の損金算入だけにこだわった時代は、すでに終わりました。
  貸し渋り・貸しはがしが渦巻くこの不況の中、「保険料が損金になるから」ということだけで生命保険に加入するのではなく、キャッシュアウト時に「いざ」というときのキャッシュインも併せて考えるなど、目的にあわせた見直し提案をすることですね。
    <話法例>
     「社長さん、現在ご加入の生命保険でご勇退時の退職金準備は大丈夫でしょうか?」
    
     現在50歳の社長さんが、70歳で後継者にバトンタッチする場合を例にとりますと、50歳から70歳への生存率は約84%(厚生労働省「平成21年 簡易生命表」を基に算出⇒70歳男性の生存人数80,683人÷50歳男性の生存人数95,901人×100=84.1%)です。
  長寿の時代、「ほとんどの社長さんがお元気で、後継者へバトンタッチする」ということですね。
  保険料が「入口」で損金となる掛け捨ての保障も必要ですが、勇退時の生存退職金をカバーできるのは、資産性のある「長期平準定期保険や終身保険」また、任期が確定している場合には「養老保険」などの事業保険をバランスよく見直し提案することが大切ですね。
       ヒント2
     「役員退職金は、妥当な額であれば、当然受け取る権利がある」と一概にはいえません。
    <解説>
    
     “妥当な額”とはどのようにして決めるのでしょうか? 実際には「実質基準」と「形式基準」に照らして決められるわけですが、この両基準について理解を深めていただくためにも、ここで「役員退職金規程」を制定するメリットについて考えてみたいと思います。
  「役員退職金規程」制定には、どんなメリットがあるのでしょうか? 私は3点あると思います。
     @税務上のトラブルを回避するため
    
     規程は「形式基準」であり、規程があれば税務上すべてが損金として認められるわけではありません。支払われた退職金が「適正か、過大か」どうかは、「法人税法施行令第72条」に基づいて税務署が判断します。これが「実質基準」です。
法人税法施行令第72条
[役員退職金が適正であるかどうかの判定要件]
  ・退任役員が業務に従事した期間(在任期間)
  ・退職の事情、会社への貢献度
  ・同業種、同規模の会社における退職金の支給状況との比較
  しかし、「形式基準」である規程があり、その内容が世間並みのものであれば、お手盛りと見られることもなく、スムーズに損金算入が認められやすく、税務上のトラブルを回避できるメリットがあるわけです。
     A支給を円滑にするため
    
     会社法第361条に「取締役が受ける報酬等は定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」(要旨)とあります。
  定款に報酬を定めている会社はあまりなく、株主総会で役員報酬を決定しているのが実情です。
  役員退職金も報酬の一部であり、その支給は株主総会で決議されます。
  規程がない場合には、株主総会で反対する人がいると支払不能になったり、支払の承認を得ても、金額について多い少ないなどの問題も発生しかねません。
  また、遺族にとって、いつ支給されるのかも相続税納税などで大きな問題です。
  しかし、規程があれば、明文化した客観的な基準なので、金額・支給時期など規程に従い取締役会へ一任する旨、承認を得やすくなり、支給もスムーズに取り運ぶことができるというメリットがあるわけです。
     B役員やその家族が安心して働けるため
    
     役員退職金の原資を生命保険で準備していた場合、会社が受け取った保険金は亡くなった役員の遺族へ死亡退職金・弔慰金という形で支払われます。しかし、「規程」がない場合には、会社が受け取った保険金が、借入金や買掛金・支払手形の決済などに優先されて、遺族に渡らないということがあるかもしれません。
  「役員退職金規程」は、「内規」なので法的にそれほど強い拘束力を持つものではありません が、書類で整備されることで、役員やその家族が安心して働けることも見逃せない効果です。
     以上の3点が、「役員退職金規程」制定のメリットです。
ですから、事業保険の加入や見直しを勧める際には、規程の制定をセットにした「制度販売」が効果的というわけです。
  また、役員退職金をめぐるトラブルの事例として、「判例」や「新聞記事」などの実例を示すことで、さらに訴求効果が増しますね。
<話法例>
「社長さん、円滑な相続税納税のためにも、死亡退職金が即時に支払われるようになっていますか?」
「専務さん、役員退職金が支払われなかった判例をご存じですか?」
  役員退職金規程の作成をお勧めし、その財源として、事業保険を見直し提案することですね。
       ヒント3
     「弔慰金は、業務上死亡の場合は普通給与の3年分、業務外死亡の場合は6ヵ月分まで、相続税法上非課税となります」
    <解説>
    
     このことは、「相続税基本通達3−20」に書かれています。
  社長や役員が死亡した場合、死亡退職金とは別枠で会社が遺族に対して「弔慰金」を支払うことがあるわけで、会社が支払った弔慰金は一定額まで損金算入することができます。また、これを受け取った遺族にも、非課税の範囲内であれば相続税はかかりません。
  ここで留意したいことは、この弔慰金を会社が支払う際、弔慰金規程などで死亡退職金とは明確に区分したうえで支払うということです。もし、明確に区分して支払わないと、支払った金額すべてが死亡退職金とみなされてしまう危険性があるからです。これではせっかくの非課税枠が生かせなくなってしまいますね。
    <話法例>
    
   「社長さん、役員退職金規程は作られていますか? もし作られていたら、弔慰金の項目も入っているでしょうか?」
  弔慰金の非課税枠を活用するよう見直し提案してください。
  ある先輩から教えていただきました。
「今、規程を作る時間もそのつもりもないよ…」という社長さんがいたら、
「もし、会社のどなたかにそんな不幸なことがありましたら、退職金と弔慰金とに分けてご遺族に差し上げてください。のし袋を必ず2枚に分けてください…」
  対話の中でさりげなく情報を提供しながら、時を作りチャンスを待つんだよ…と。
     長くなりますので今回はひとまずこのへんで…。
いずれにせよ「敵を知り己を知らば、百戦して危うからず」ですね。
さまざまな角度・始点からの「情報分析力」を磨き上げる参考にしてください。
次回も、「事業保険見直し提案のヒント」を、いくつかご紹介したいと思います。
(つづく)
2010.08.09
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